「この目は『オシリスの目』と呼ばれるものです。これは古代フェニキアの習慣に由来するもので、航海中の漁師を悪天候や危険から守る効果があると信じられています」(マルタ観光局)
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フェニキアとは古代に地中海沿いに位置した地域のことで、かつて海上貿易の中心地として知られていました。優れた造船技術や航海術を持つフェニキアの人々は、エジプト神話の「オシリス神」の目を船の先頭部分に描き、魔除けにしていたのだとか。その習慣が漁師にとっての「海のお守り」として、ルッツにも受け継がれているようです。
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地中海に囲まれたマルサシュロックは、昔から「船乗りの町」として知られてきました。そのため、村にある教会にもルッツに乗ったマリア像が設置されているそうです。一見華やかに見えるカラーや装飾にも、危険も伴う漁に出る船乗りたちを守る意味が込められているのですね。
(取材・文=つちだ四郎)