滑舌を良くする方法の一つといわれる「早口言葉」。ナレーターや声優・役者など、声を生業にする人にとっては日常的なものかもしれません。しかし筆者も含め、ほとんどの一般人にとっては「子どもの頃にした1種の“遊び”」であり、大人になるとめったに口にする機会もないのでは?
そんな中、早口言葉が“脳のトレーニング”に効果的で、認知症の予防にもなり得るということがわかってきているという興味深い情報をキャッチした筆者。早口言葉に関する書籍の著者であり演技トレーナーとしても活躍する佐藤正文さんと、共著者で脳機能の専門家である福山秀直医師に詳しく話を聞きました。
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「早口言葉は『言語野』と言われる脳の『左前頭部』の記憶プロセスを強制的に使うため、熟達するに従い物忘れの改善などにも役立ちます」(福山医師)
佐藤さんは「高齢になるにつれ、言葉を伝えたい相手に『伝わるように話すこと』が簡単ではなくなってきますよね? ですが“言葉を発するための筋力”は、足腰の筋肉と同様に鍛えることができます。それは歳を重ねてからでも可能です」と付け加えました。
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両者の話を合わせると、早口言葉は「脳力」と「筋力」を同時に鍛えるのに有効であることが伺えます。
では、早口言葉に対してどう取り組めば良いのでしょうか? 佐藤さんによると、じつは早口言葉には「苦手をチェックするためのもの」と「苦手を鍛えるためのもの」があるのだとか。
「早口言葉にも様々あり、人それぞれ苦手に感じる要素は大まかに『7種』に分類されます。まずは自分の苦手を診断することから始めてください」と佐藤さん。以下にそれぞれの例を紹介します。
【苦手:その1】サ行
●チェック
「笹の寿司 紫蘇の寿司 そこの寿司」
●鍛える
「先週の選手数と先々週の選手数」
【苦手:その2】タ行
●チェック
「立てても 立てても 倒れる竪琴」
●鍛える
「トドなどと共に 徒党を組むのは難しい」
【苦手:その3】カ行
●チェック
「掻くか 掻かないかに 拘らず赤く崩れる」
●鍛える
「海上自衛隊の艦艇 海賊対処活動中」
【苦手:その4】ラ行
●チェック
「ラダレデ ロドダラ デレドロ」
●鍛える
「弓やら矢やら やたらにあります」
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