【近藤】 じゃあ、ライブのことはいいので、タイはどうでしたか?
【RAY】 めちゃくちゃ良かったです! 初めての海外なので、一つひとつにテンションが上がってすごく楽しかったです。
【タケモト】 長い滞在でしたが、食べ物は合いました?
【RAY】 食べ物はまったく合いませんでしたね。
【近藤】 え、ちょっと待って。タイですよね? タイはおいしいよ、ご飯。
【RAY】 カオマンガイが唯一食べられるくらいで、僕にはまったく合わなかったんですよね。
【タケモト】 パクチーとかは?
【RAY】 ダメです。もう大嫌いですね!
【近藤】 行くな(笑)!
【RAY】 本当に、行ったらダメだったんですよ。
【タケモト】『JAPAN EXPO』がそこであったんやから、しゃあない(笑)。
【近藤】 パッタイとかは?
【RAY】 いや、もう全然だめで。カオマンガイが唯一おいしいなと思ったくらいです。結局、日本食しか食べてなかった。
【近藤】 タイには日本食も結構ありますよね。ええ〜、もったいない。
【タケモト】 いやでも、これはRAYさんを表すひとつのトピックになりますよ。
【近藤】 うん、おもしろい! 「ご飯全然でしたね!」と正直なところがすごくいいですね。
【タケモト】 プロフィールのなかで1番気になっていたのですが、小学2年生から高校1年生まではボクシングをしていたんですね。
【RAY】 そうなんですよ。やっぱり気になりますか?
【タケモト】 長いことやってらっしゃるし、やっぱり気になりますね。どのようにして音楽にガラッとチェンジしたのか、というのも気になりますね。
【RAY】 どちらかというと、ボクシングは親にやらされたのがスタートだったんです。それで高校1年生のときには、近畿大会や全国大会、国体(国民体育大会)とかに出ていました。
【近藤】 めっちゃすごいじゃないですか!
【RAY】 僕、めっちゃ強かったんですよ。優秀な選手で、全日本の選手とかにも選ばれていたんです。
【タケモト】 もう、この道(にいくしかない)じゃないですか。
【RAY】 でも、高校1年生の国体の前日くらいから、おかんが「1回病院に行って採血してみて」としつこかったんです。それで、国体の当日の朝9時くらいに起こされて病院に行ったら、B型肝炎という病気になっていることがわかった。「このままいくと90パーセントくらいの確率で死にますよ」と言われて、その日からすぐに入院生活がはじまったんです。
【近藤】 90パーセントって、すごい確率……。
【RAY】 何をするわけでもなく、ベッドの上でずっと考えることしかなくて。「このままボクシングを続けるのかなあ」とか考えたんですけど、でも、「本当にやりたいことって何だろう」と思ったら、僕、中学生のときくらいから歌がすごく好きで。(ボクシングを)やめるとしたら、ここだなと思った。
【近藤】 病気になったということが、すごく大きなきっかけだったんですね。
【RAY】 そうですね。親も先生もすごく厳しかったので、(それまでは)やめるとは言い出せなかったんです。
【近藤】 でも、才能はあったわけじゃないですか。
【RAY】 才能しかなかったと思いますね。
【近藤】 えー!
【RAY】 それこそ、いま第一線で活躍されているボクシング選手は、ほとんど知っていますね。同じジムでやっていた同級生が、世界チャンピオンになっていたり。
【近藤】 後悔はないんですか?
【RAY】「続けていたら、いまはこうなってたんかな……」とよぎる瞬間はありますね。
【近藤】 一緒にやっていた子がタイトルを獲ってるとなったら、そうですよね。
【RAY】 しかも、僕のほうが圧倒的に強かったわけですから。
【タケモト】 いまは、病気はどうなんですか?
【RAY】 完全に治りました。
【近藤】 90パーセントの確率で、というところからすごいですね。
【RAY】 いまは全然大丈夫です。何の問題もなく。肝臓の病気なんですけど、毎日酒を飲んでます(笑)。
【近藤】 めちゃめちゃお酒好きそう(笑)。でも、「お酒めちゃめちゃ飲んでます」と言えるくらい元気なので、よかったです。

【タケモト】 それで、そこからガラッと音楽をやっていこうとなってからは、どうしたんですか?
【RAY】 無知だったので、まずはavexのアカデミーに1年間通いました。アカデミーに通いながら、ストリートライブをやってました。
【近藤】 ストリート(ライブ)って、しんどくないですか?
【RAY】 しんどいです。
【近藤】 私もストリート出身なので。めちゃくちゃしんどいですよね。
【RAY】 そうですね。出会いもありますけど……。
【近藤】 だけど、無視される時間もあるじゃないですか。あの無視されてる時間、自分の存在意義がなくなるというか。ほんまに地獄のような時間でした。
【RAY】 ソロでやられてたんですか?
【近藤】 1人でやってました。
【RAY】 すごいですね。僕は当時、グループやったのでごまかせるんですよね。
【近藤】 わかる! メンバーがいるとね。
【RAY】 1人になってから、福岡でストリートライブをやったことがあるんですけど、勇気がいりますね。ソロとグループでは全然違う。ソロの人は本当にすごいなと思います。
【近藤】 私、ワンコーラス歌えずに泣いて帰ったこともあります。しんどすぎて、キツすぎて。
【RAY】 メンタルにきますよね。
【近藤】 でも、さっきおっしゃっていたみたいに、ストリートライブを経験することでいろいろな出会いがあったり、しゃべることで人が止まってくれる感覚を身につけることができてMCがちょっと上手くなったり、鍛えられる部分はありますよね。
【RAY】 メンタルがすごく鍛えられます。
【タケモト】 だけど、ボクシングで鍛えていた人でも、ストリートで人が止まってくれないことで心が折れるんですね。
【近藤】 確かに、強さはあるのにな。ちょっとまた違うジャンルなんでしょうね。
【RAY】 違うんでしょうね。ライブハウスとかの緊張は全然マシなんですけど、ストリートはね……。
【近藤】 ボクサーも1人で戦う競技ではあるからメンタル面は鍛えられているといっても、ストリートライブはちょっと違う。(タケモトさんも)1回やってみてください(笑)。
【タケモト】 いやいや、俺は何をすんねん(笑)!
【RAY】 ストリートライブをやってると、1人だけお客さんが来てくれることもあるじゃないですか。正直、誰も来なかったらやめられるんですよ。でも、1人来てしまったらやらなければならない。
【タケモト】 あ〜、むずいね。
【近藤】 武道館やドームとかで(ライブを)やっている人が、ステージ上で「1人でも僕の歌を聞いてくれる人がいるならば歌い続けます」みたいなことを言ってるけど、「ほんまか?」って言いたくなるもん(笑)! 「この経験したら、そうは言われへんぞ!」って言いたくなる。





