インドで毎年春におこなわれる祭典「ホーリー祭」を知っていますか? 春の訪れを祝うために開催される祭りで、人々がカラフルな粉や水をかけあうというもの。顔や服が鮮やかに染まる様は見栄え抜群で、インド映画では祭りの再現シーンがあるほど。
一見楽しそうに思えますが、実際はそれだけでとどまらないのだとか。「インド宮廷料理Mashal」(東京都大田区)のオーナー・アリ三貴子さんに祭りの実態を教えてもらいました。
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ホーリー祭は北インドのウッタル・プラデーシュ州でのものが特に有名ですが、国内各地で行われています。しかし、なぜカラフルな粉や水をかけあうのでしょうか?
インドと日本を頻繁に行き来するアリさんによると、「カシミール地方の伝承がもとで、家に押し入ってくる悪鬼『ビシャーチャ』を追い払うため泥や汚物を投げつけたのが始まりとされています。そのため黄色は尿、赤は血、緑は田畑を象徴しているといわれています。もともとは豊作祈願のためのお祭りだったのですが、徐々に『クリシュナ伝説』をはじめとする各地の悪魔払いの伝説が混ざって、現在のような形になったとされています」とのこと。

「祝う・祝わない」「宗教を問わない」のがホーリー祭の特徴。ひとたび外出すれば、誰でもカラフルな水や水風船・水鉄砲などによるアタックを受けます。シチュエーションもお構いなしだそうで、列車に乗っているときに窓際に座っていると、線路沿いから水が飛んできたり水風船が投げ込まれたりすることもあるのだとか。
「道を歩いていたり、オートリキシャー(小型の車)に乗っているときに、突然知らない人から水風船をぶつけられる事もあります。どこから飛んできたか分からないので、責めようもありません。きちんとしたマナーやルールもありませんね。最近では『豊作祈願』の意味合いも薄れつつあるようです」(アリさん)




