地域で愛されおよそ半世紀 神戸・岡本の小さな雑貨店 経営を長く続ける秘けつとは | ラジトピ ラジオ関西トピックス

地域で愛されおよそ半世紀 神戸・岡本の小さな雑貨店 経営を長く続ける秘けつとは

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 地域で愛され半世紀近く営業している雑貨店が、神戸の岡本にあります。店主が大切にセレクトしているのは、“作り手の想いがこもったモノ”。長らく営業を続ける思いなどを聞いた。

 阪急岡本駅より南に徒歩3分のところにある小さな雑貨店「ハンドインハンド(Hand in Hand)」。代表を務める橋谷惟子さんが取り扱う商品は、服飾、食品、スキンケア商品やその他生活雑貨など、多種多様だ。

 当初、置いていなかった食料品は、9割以上が女性客で需要があったことから扱うようになったという。ただ、男性客にも入ってきてもらえるようにと、20年ほど前から酒類の取り扱いも開始。初めはワインに特化も、日本酒の産地・灘五郷に位置する土地柄もあって日本酒も揃えるようになった。

 48年の歴史の中で、常に試行錯誤を繰り返しながら営業を続けている同店。商品のラインナップの中には、バーゲンブックも並ぶ。これは、新刊販売から一定期間経たものを改めて再販売した未使用の新本で、値段は定価のおよそ2分の1から3分の1。最近ではSDGsの観点からも注目されている。

 かつては周辺に個人経営の書店が何軒かあったが、今はチェーン店のみになっているということで、「チェーン店にはあまり置かれないような、ニッチな本を置くようにしています」と橋谷さん。付近は文教地区で、甲南大学をはじめ学生、生徒が多いこともあり、「学生の心をつかんだことが、店が長く続いている要因ではないか」と分析する。

 30年前の阪神・淡路大震災の際は店が半壊。当時、ちょうどその日からバレンタインに向けてチョコレートを販売しようとしていたため、前日は店内にチョコレートを陳列したところだった。そのため、震災発生後、食料確保がままならない状況下で周辺の人々にそのチョコレートを配ったそう。橋谷さんは「少しでも皆さんの役に立てたのでは」と振り返る。

株式会社ハンドインハンドの代表取締役、橋谷惟子さん
株式会社ハンドインハンドの代表取締役・橋谷惟子さん

「ハンドインハンド」の店名には、「作り手側の思いを一つひとつ大事にして、使い手側に伝えていきたい」ということと、「みんなで一緒に横のつながりを作る」という願いが込められている。創業当時は英単語を3つ使った長めの店名は珍しかったとのこと。「もうこのぐらいの年月が経つと、皆さんの中にも違和感がなくなったのでは」(橋谷さん)。

 あるとき、ドラッグストアで買い物をしている際に、自分の店の仕入れ値よりも安い値段で薬が販売されているのを見かけたという橋谷さん。大手は大量に仕入れることで安く仕入れることができるため、そうしたメジャーな商品で張り合うのはやめたという。さらに、自分の店でその薬を買おうとした客には「向こうの店の方が安いから向こうで買ってください」と言ったこともあるそうだ。

 そこからはさらに他の店ではあまり扱っていないような商品を探し出すことに力を入れ、仕入れている商品が他のところでもたくさん扱われるようになると仕入れをストップ。「もう商品探しが大変ですね」とその心境を吐露した。

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