――養生テープを貼ってはいけない環境は?
【担当者】 養生テープを貼る際、気をつけなければならない物のひとつが配線コードです。配線コードの外側部分を覆っている絶縁体には、塩化ビニル(塩ビ)が使用されています。
塩ビはもともとかたい樹脂でできており、可塑剤が添加されることでやわらかくなり、成形と加工が容易になります。この可塑剤の量によって柔軟性が変わり、配線コードや電源ケーブルなどにも使用されています。
塩ビに直接養生テープを貼ると、可塑剤が粘着剤と反応し、粘着剤をやわらかくしようとする現象が起こりやすくなります。この現象によって粘着剤がやわらかくなり、テープを剥がす際に粘着層が割れることがあります。これが、のり残りのおもな原因として挙げられます。
ほかにも、紫外線の影響で劣化しやすいため、屋外で貼りっぱなしにしたり窓ガラスに貼りっぱなしにしたりすることものり残りの原因になりえます。また、高温すぎる場所、低温すぎる場所もNGです。
――養生テープが登場したのはいつごろ?
【担当者】 ポリエチレンクロス製の養生テープが発売されたのは、いまから約40年前です。当時は、建築業界の職人が使うテープとしておもに街の金物屋を中心に販売していましたが、ホームセンターの店舗数拡大とともに一般にも徐々に普及しました。
その後、2018年に大阪府に直撃した台風を契機に、多くのメディアで窓ガラスの飛散抑止対策のひとつとして養生テープが取り上げられ、一時、ホームセンターの棚から消えることもありました。
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担当者によると、「ひと昔前までは各家庭に常備されているテープといえば、セロハンテープ、クラフトテープ、布テープだったが、最近ではここに『養生テープ』が加わりつつある」そうで、同社の養生テープ製品の年間出荷数量は、地球約12周分にもなるといいます。
いまでは、現場火災での延焼対策として、燃え広がりにくい「難燃テープ」や、コード類を養生するための専用テープなども登場しているそうです。さまざまな広がりを見せる養生テープ業界から、今後も目が離せません。
※ラジオ関西『Clip木曜日』2025年3月20日放送分より