開館50周年を記念した事業を展開している神戸文化ホール(神戸市中央区)は、同事業の2025年度の目玉として、ベートーベンの2日連続演奏会を開催する。誰もが知る交響曲第9番と知られざるミサ曲のカップリングで、同ホールでクラシックの連続演奏会が開かれるのは非常に珍しい。
神戸文化ホールは1973年秋に開館。神戸の代表的な劇場として、子どもの発表会から演劇、古典芸能、本格的なオペラ、バレエまでさまざまな公演を担ってきた。開館50周年にあたる2023年度から3カ年計画で記念事業をスタート、最終年となる25年度も同ホール付きの神戸市室内管弦楽団と神戸市混声合唱団が中心となり、多彩な演奏会を行う。神戸文化ホールは2027年度以降、現在地から三宮の再開発ビル内に移転する予定。

連続演奏会「ベートーヴェン・ダブルビル」は11月15日(土)と16日(日)に開かれる。16日はベートーベンの代表曲の1つ、交響曲第9番。先立つ15日はあまり知られていない「ミサ・ソレムニス(荘厳ミサ曲)」を披露する。両日のタクトを執る鈴木秀美・同市室内管弦楽団音楽監督によると、「日本において2つの曲の知名度は1万(第9)対1(ミサ曲)くらい」。その上で「ミサは音楽の複雑さがまったく違う。ミサの簡略版が第9。ミサを聴いた後で第9を聴くと理解のされ方が大きく変わってくる」と連続演奏のねらいを明かした。
出演は中江早希(ソプラノ)、布施奈緒子(アルト)、櫻田亮(テノール)、氷見健一郎(バス)。鈴木監督は、「ベートーベンの声楽パートは歌いやすくないが、どういう意図でどういうことが書かれているのかはっきりと歌ってくれる人たち。期待してほしい」とPRした。

そのほか25年度、同ホールではラトピア出身のマエストロ、アンドリス・ポーガと神戸市出身の若手バイオリニスト・松岡井菜による「追憶のショスタコーヴィチ」(4月19日[土])、平和をテーマにプーランク、リゲティ、シェーンベルクの名曲を集めた「人間の顔~戦後80年に捧ぐ」(9月14日[日]、指揮は佐藤正浩・同混声合唱団音楽監督)など魅力的なプログラムが目白押しだ。
各公演チケットについての問い合わせは神戸文化ホールプレイガイド、電話078-351-3349。
