「戦後の学校給食のシチューには脱脂粉乳が使われており、白濁していたため『白シチュー』と呼ばれていました。クリームシチューミクスは、当時の担当者が給食で食べていたという白シチューを『家庭で簡単に作れる粉末製品で再現できないか』と一念発起し開発されました」(ハウス食品)
その際、参考にしたのはアイルランドの「アイリッシュシチュー」という伝統料理だったそう。そのため、発売当初のパッケージには小さく“IRISH STEW 欧風煮込み料理”という1文が入っていたそう。さて、世間の反応はどのようなものだったのでしょうか。
「スーパーなどで試食会を実施するも、当時はまだまだなじみのない料理。はじめのうちは試食のお皿を受け取ってもらえない状況が続きました。実食された方からは『おいしい!』と好評を得ていたため、徐々にファンが増えていきました」(ハウス食品)
余談ですが、クリームシチューといえばたびたび巻き起こる「ご飯にかける・かけない論争」。やはり、“シチューはパンと一緒に食べる”というイメージが強く、違和感を覚える日本人も多いといいます。
同社はクリームシチューに対して「『日本人の主食であるごはんのおかずになること』『毎日の食卓に違和感なく登場させられるもの』という思いを持っています」とのこと。苦手意識がある人は“シチューにごはん”を一度試してみてみるといいかもしれません。

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日本人にとって親しみ深いクリームシチュー。調べてみると、独自の進化を遂げた「ガラパゴスフード」であることが判明したのでした。
(取材・文=つちだ四郎)



