SNSをやっていると、他の自治体がどれだけ手厚いか、ママ同士のコミュニティでわかってしまうんです。『娘の方が困り感が強いのに、住む地域が違うだけで支援してもらえないのはどうして?』と地域差に思い悩むことも多く、個人で解決できる悩みを超えてしまうもどかしさがあります。
保育園の送迎付きや、土日も利用できる児童発達支援施設がもっと増えてくれたら、働くママも療育と仕事を両立できると感じます」
ーー自閉症育児で今まさに『暗黒期』に入っているママさん・パパさんへ、みどぅさんの経験から伝えたいことは?
「我が子のことが大切で心配だからこそ、親御さんが真剣に育児に向き合っているからこそ暗黒期は訪れると思っています。周りの子どもたちの発達とつい比べてしまったり、思うような支援を受けられなくて焦ったり、そもそも自分自身が子どもの障害を受容できなかったり、悩みを理解してくれる人や相談できる人が周囲にいなかったり…子ども自身の発達の遅れと同時に、障害に対する周囲との距離感や壁に悩むのが暗黒期の恐ろしさだとも思います。
私もまだ乗り越えきれた、とは正直言い切れません。節目のたびに壁にぶち当たっては、波のように暗黒期を何度も繰り返す未来がなんとなく想像できています。ただ、一度波を乗り越えた私が思うに、暗黒期は決して悪いことではなく、暗黒期があったからこそ親として成長できたと思っています。
娘が療育に通い初めて1年経った頃、健常の子たちはもっと成長スピードが早いので、娘がゆっくり頑張って成長していても追いつくことはないことに気がつきました。また、同じ療育を受けている子どもたちの中でも発達に差を感じ、『何もできない娘は、療育に通わせる意味ないんじゃないか』とさえ思うこともありました。
療育は、娘が定型発達に追いつくためじゃなく、今後生きていくための居場所を作っているんだという考え方に変えてから、私の中で周りと比較することが減り、娘の成長だけを純粋に楽しめることが増えました。
『会話ができない自閉症娘の5年間』の動画を作るにあたって過去の写真を見返しては、『どうしてあの頃、もっと娘のことだけを純粋にみて、可愛がれなかったのか』と少し後悔しました。目の前のことに必死で、当時気づけなかった娘の幼い愛らしさに、今ようやく気づいても、もう当時の娘には会えないんだと虚しさを感じました。
暗黒期真っ只中のママさん、パパさんこそ、目の前のお子さんにたくさん愛を伝えてほしいです」
お気持ちを赤裸々に語ってくれたみどぅさん。みどぅさんのSNSアカウントでは、自閉症のちーちゃん、食物アレルギーのあるのぞくんとの日常やママの思いなどを発信しています。
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(取材・文=五ヶ瀬あお)





