先日、とあるお宅にお邪魔した際、リビングに通されました。そこで目に入ったのは、季節にまったくそぐわないひな人形。ぼんぼりが灯され、桃の節句の時期となんら変わらない状態で飾られていたんです。

端午の節句も過ぎ、さらには初夏も過ぎ去っていこうとするいま、なんでやねん? そうツッコむと、その家の人は「毎年、おひなさんをしまう時期を伸ばしてるねん」という言葉とともに、本気の顔をして語りはじめました。
「うちに娘がおるんは知ってるやろ。正直、かわいくてしかたがないねん。最近は『パパと結婚する』とか言うてくれるから、うれしくてしゃあないねん。それで、あの迷信か都市伝説か知らんけど、“ひな祭りが終わったら早く片づけないと婚期が遅くなる”っていうやつ、あれにあやかって片づけてないねん」
まさか!? それが理由なんちゃうかなとは思たんやけど、普通は“早く片づけて、良き人を早く見つけてほしい”というジンクスですよね。
ところが、「かわいくてしかたがない娘とずっと一緒にいたい」「大きくなって結婚とかをして家から出ていってほしくない」との思いが強くて、わざと片づけていないそうなんです。

しかし、5月の中ごろまでって少々長すぎひんか? そう尋ねてみると、こんな答えが返ってきました。
「どれぐらい片づけるのが遅くなったら、迷信の効果があらわれるのかがわからない。娘とずっと一緒にいたいので、3歳のときから片づけるのを遅くしていて、毎年1か月ほどずつ遅くしていっている」
こうした思いから、今年は5月末か6月頭までは飾ると決めていると説明してくれました。


一般的に知られる迷信に、さらにアレンジオプションを加えて実施してはったんで、このぶんでいくと2034年以降には片づけることなく1年中出しっぱなしということになります。そうです、娘さんが14歳になるころです。






