奈良国立博物館(奈良市)で開催中の特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」がこのほど後期展示期間に入った。中宮寺(奈良県斑鳩町)の「菩薩半跏像(伝如意輪観音)」(国宝・7世紀)などが新たに登場したほか、石上神宮(同県天理市)に伝わる「七支刀(しちしとう)」(同・4世紀)に初めて実施したX線CT撮影調査の結果も公開。仏教・神道美術の至宝を集めた会場は、連日大勢の人々でにぎわっている。

開館130年を記念して企画された同展は、法隆寺(奈良県斑鳩町)の「観音菩薩立像(百済観音)」(同・7世紀)をはじめとする国宝112件、重要文化財16件を含む計143件を前期と後期に分けて紹介。「奈良博誕生」「美麗なる仏の世界」「神々の至宝」などのテーマで全7章に分けた。
東大寺(奈良市)大仏殿前にあった灯籠(とうろう)の一部「金銅八角燈籠火袋羽目板」(同・8世紀)も後期展示品の1つ。752年の大仏開眼会とほぼ同時期に制作されたとみられるもので、天衣を優雅にひるがえしながら楽器を奏でる音声(おんじょう)菩薩がくっきりとしたレリーフで表されている。
中宮寺の菩薩半跏像は、白一面の独立した部屋に一体だけで鎮座。像の真横や背後からもじっくりと眺めることができる。やわらかな光の中、漆黒のボディーが浮き上がるように映え、展覧会タイトル「祈りのかがやき」を具現化したような空間が広がる。対して、百済観音の背景は黒。“暗闇”の中央にすらりとしたプロポーションの像が金色に輝く。飛鳥時代を代表する2つの仏像が同じ展覧会に並ぶ「超」豪華なラインアップだ。

百済観音は冒頭、菩薩半跏像は最後に置かれている。展示の意図について、同館の三田覚之・主任研究員は「百済観音の暗い部屋は、戦争が絶えず、暗がりのようになっている現代の表現。その中で百済観音が灯のように輝き、われわれを導く。菩薩半跏像の白い部屋は仏教の理想世界を表している。現代から人々の祈りと歴史を振り返り、最後に新しい時代が開かれるイメージでしつらえた」と明かす。





