女性を応援するラジオ番組に、歌手生活60周年を迎えた加藤登紀子さんが登場。スタジオジブリ映画『紅の豚』での声優秘話や「平和への願い」について熱く語りました。

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子どもから大人まで、時代・国境を越え愛されてきた加藤さん。60年にわたるキャリアの中でも、特に印象的だったのが、スタジオジブリ作品『紅の豚』で演じたマダム・ジーナの役だといいます。
ジーナは主人公のポルコ・ロッソの旧知の女性で、かつて3人の飛行艇乗りと結婚しいずれも死別したという未亡人。「宮崎駿監督から『もう若くない女』『どんな時も男を奮い立たせるほど美しい女性』……それがジーナだと紹介されました」と加藤さん。ジーナを“女性の自由と強さの象徴“”として、次のように表現しました。
「美しい人を見て奮い立つってとても効果的なエネルギー源。誰かが独占しちゃいけない。だからジーナを見て、みんな奮い立つんですよ。だけど誰のものにもならない。ここが彼女の“ミソ”なんですよね」(加藤さん)
ジブリ作品への参加は「電話一本で決まった」と振り返ります。しかし、歌唱シーンの収録時には、宮崎監督から「男が震いつきたくなるような唇で歌ってください」と細かな演出があったとのこと。監督は加藤さんの唇をモデルにジーナを描いたそうで、「唇は私がモデルです」と笑いながら明かしました。
声優としての出演は初めてだった加藤さんですが、「何の努力もいらないんですよね。だって、ジーナは私だから」と語ります。そして、「全然難しくないようにできる監督が、やっぱり素晴らしい監督だと思うんです」と、宮崎監督の手腕を称賛しました。
現在、デビュー60周年記念コンサートツアー『60th anniversary concert 2025 for peace 80億の祈り』を開催中の加藤さん。「地球上のすべての人が祈っているはず」と思いを口にするその原点には、幼少期に難民として過ごした経験がありました。
「私はハルビンで生まれて、終戦後の1年間は難民でした。街には日本人・ロシア人・ポーランド人・ユダヤ人、バルト三国の人々・ジョージア人などあらゆる国の人が移住しており、不思議な街でした。『ディアスポラ(移民や植民を意味する思想用語)』っていうか、どこででも生き抜く人たちの姿が私の中にずっとあります」(加藤さん)



