斎藤元彦・兵庫県知事らの疑惑を文書で告発した元県民局長の男性(2024年7月死亡)のプライベート情報が漏えいした問題で、神戸学院大学法学部・上脇博之(ひろし)教授が10日、職務上知り得た情報を漏えい、また漏えいを促したなどとして、斎藤知事と片山元副知事、前総務部長の3人に対する地方公務員法(守秘義務)違反容疑の告発状を神戸地検に提出した。

上脇教授は「不正義をそのまま通すことは許されない。あくまでも発端は、公益通報者保護法違反であり、(告発した人物の探索行為など)告発者を抑圧する行為だ。単独犯ではなかったはず。今の兵庫県政は、斎藤知事のもとでは真相解明できない」と語気を強めた。
今回の刑事告発については、全国規模で82人の弁護士が関わっている。

県が設置したが第三者委員会は、5月27日に公表した報告書で、元総務部長へのヒアリングなどから「斎藤知事や元副知事が(元総務部長に)指示した可能性が高い」と結論付けた。

これに対し斎藤知事は、県議会6月定例議会(会期は6月12日まで)で、「元総務部長は、停職3か月の懲戒処分によって社会的制裁を受けている」として従来の考えを変えず、「刑事上の厳罰をさらに科すことまでは求めない。これ以上の捜査を求める必要はない」と述べた。また県当局も、斎藤知事や元副知事の刑事告発はないとした。

告発状によると、元総務部長は昨年(2024年)4月、県議会の会派控室などで県議3人に対し、「これ、見てくださいよ。こんな人間が作った文書、信用できるわけない」などと話しながら、男性の公用パソコンに保存していたプライベート情報を印刷した文書の一部を閲覧させ、またその内容の一部を口頭で述べるなどして、職務上知り得た秘密を漏らしたとしている。
また、その前提事実として、▼斎藤知事が告発文書の存在を把握した同年3月、元副知事らを集め、「(告発文書は)だれがつくったのか、なぜつくったのかを把握する事が大事」と伝え、徹底的な調査を指示して公用パソコンを押収した。▼同年4月には、斎藤知事が元総務部長に対し、「(告発者である男性の)プライベート情報を、県議会の執行部に知らせたらいいんじゃないか」と指示。職務上知り得た秘密を漏らすことを命じたか、そそのかしたとしている。