神戸市では、身近な自然の中にいる動植物を市民がスマートフォンを使って調査・投稿する「夏休み生きものクエスト2025」が始まっています。今年は外来生物や里山の昆虫など、あわせて15種類が対象で、調査を通じて生態系への理解や外来種のリスクについても考えるきっかけにしてもらう狙いです。
この取り組みは、市が6月から8月にかけて実施しているもので、AIが動植物の種を判定する無料アプリ「Biome(バイオーム)」を活用。参加者は、アプリに表示される指定の生きものを市内で探し、見つけたら写真を撮って投稿するという流れです。
対象の動植物は毎年テーマに沿って選ばれており、今年は外来種や里山に生息する昆虫に加え、植物の花粉を運ぶ「送粉昆虫(ポリネーター)」と呼ばれる4種類の昆虫も含まれています。いずれも市内で見つけやすい生きもので、昆虫や植物に詳しくない人でも気軽に参加できるのが特徴です。
具体的には、ツヤハダゴマダラカミキリやナガエツルノゲイトウといった外来生物のほか、コクワガタやハグロトンボなどの里山の生きもの、ニホンミツバチやベニシジミなど花に集まる昆虫など、あわせて15種が設定されています。
なかには、生態系に大きな影響を与える外来種も含まれており、調査を通じてそのリスクを知ってもらいたいとしています。
たとえば、特定外来生物に指定されている「クビアカツヤカミキリ」は、中国や朝鮮半島原産の昆虫で、光沢のある黒い体に赤い胸部が特徴です。繁殖力が非常に強く、幼虫がサクラやウメの木の内部を食べて成長するため、農作物や桜並木などへの被害が懸念されています。
また、植物についても同様の課題があり、市内で見られる特定外来生物「オオキンケイギク」は、黄色やオレンジ色の美しい花を咲かせますが、繁殖力が強く、在来植物を圧倒してしまう恐れがあるといいます。
市では、「見かけても持ち帰ったり植えたりせず、敷地内で発見した場合は根ごと抜くか、花を刈り取って燃えるゴミとして処分してほしい」と呼びかけています。広範囲で駆除を行う場合は、市の自然環境課への相談も推奨しています。
「夏休み生きものクエスト2025」は、自然観察や夏の自由研究にもつながるほか、人と自然との関わりや生物多様性の大切さについて考えるきっかけにもなっています。




