「戦後最大の人権侵害」とされた旧優生保護法(1948~96年)のもとで障害者が受けた強制不妊手術をめぐり、国家賠償請求訴訟に勝訴した原告など兵庫県内の被害者に対し、斎藤元彦知事が26日、初めて直接謝罪した。

同日午後、神戸市中央区で被害者らと面会した斎藤知事は「子どもを持つ権利を奪われ、長い間心身ともにつらい思いをされてきたと考えると私自身もたいへんつらい」と話した。その上で、県が過去行っていた「不幸な子どもの生まれない県民運動」は「するべきではなかった。不適切だった施策。あらためて兵庫県知事として深くおわびしたい」と述べ、被害者に対して頭を下げた。


聴覚障害がある小林宝二さん(93)=兵庫県明石市=は、同じ障害を持ち、2022年に亡くなった妻・喜美子さん(享年89歳)の遺影とともに来場。宝二さんと喜美子さんは子どもを持ちたいと考えていたが、喜美子さんは旧優生保護法に基づく不妊手術を強制され、2人の希望は叶わなかった。宝二さんは昨年最高裁判決で勝訴したが「今は子どもも孫もおらず、ひとりぼっちでとても寂しい」と嘆き、「県は悪いことをした。謝罪するのが遅過ぎた」と訴えた。
脳性まひがある鈴木由美さん(69)=神戸市=は「私の時間は取り戻せない。こんなひどい施策は今後してほしくない。差別のない兵庫県になってほしい」と要望した。


この問題をめぐっては、2018年1月以降、被害者ら39人が全国12地裁と支部に相次いで提訴した。最高裁は昨年(2024年)7月3日、旧優生保護法を違憲と認定し、国の賠償責任を認めた。岸田文雄首相(当時)は、この直後に政府トップとして初めて被害者に直接謝罪している。





