ある日、奈良県十津川村へ向かう国道168号線沿いを車で走っていました。休憩しようと思い、『道の駅吉野路大塔(よしのじおおとう)』に立ち寄ったところ、「陀羅尼助ソフトクリーム」と書かれた看板が目に入りました。
陀羅尼助(だらにすけ)って、いつも飲んでる胃腸薬ちゃうん!?

いろいろなご当地ソフトがありますが、多くがその土地で採れるフルーツだったり、変わっていても名産の塩や味噌、しょうゆなんかの調味料だったりします。ところが、陀羅尼助っていうたら、奈良の伝統的な薬ですやん。
「薬のソフトクリームやなんて!?」と首をかしげながらも、食べてみることにしました。ペロリと舐めてみますと……。
「苦ぁぁーーーーーーー!!」
そらそうです。陀羅尼助を服用したことがあるので、わかります。そうです。陀羅尼助ですから、当たり前のように苦いんです。
ですが、食べ進めるうちにバニラの甘みと相まって、口の中がスッキリとしたような味わいに。「おぉ! 苦甘の新感覚やなあ〜」と、私は一発でファンになりました。
漢方っぽい独特の風味とソフトクリームは合うんやと感心しながら、ペロリと食べきってしまいました。※賛否両論です。一緒に食べた人は「ダメ」って言うてました。
その後、暑くて食欲が湧かない日に思い出したんです。「ああ、こんな日は〜あの陀羅尼助ソフトやったら食べられるのになあ〜食べたいなあ〜」と。そして、同時に気がつきました。
「そうそう、陀羅尼助って家にあるやん」
常備薬として家にあるはずの陀羅尼助を薬箱から取り出し、すぐさまアイスクリームを買ってきました。その上にパラパラっと振りかけて食べてみました!

「苦ぁ!!! なんか!!! 違う!!!」
というか、全然違う……。なぜなのかと思い、陀羅尼助ソフトクリームを販売している『道の駅吉野路大塔』にあるお食事処『金剛』さんに尋ねてみたところ、「そらそうですやん」とスタッフさん。
じつは、陀羅尼助の薬をそのまま振りかけているわけではないそうで、このように説明してくださいました。
「薬をそのまま振りかけて販売したら、薬事法に引っかかります。この商品にかかっているのは、陀羅尼助の原料のひとつである『キハダ』というミカン科の植物のパウダーです」






