神戸のラジオ局、ラジオ関西で、番組の“心臓部”ともいえる生放送スタジオが29年ぶりにリニューアルされました。
震災を経験し、変化するラジオの役割に応えてきた港町のラジオ局。次の時代に向けた歩みを進めるなか、そのベースとなる新たなスタジオへのこだわりについて、現場を支える技術スタッフに話を聞きました。


新スタジオは6月30日(月)から本格運用を開始。設備の一新に加え、音響面やスタジオの動線にも細かな工夫が施されています。
ラジオ関西は1995年の阪神・淡路大震災で、当時使用していた神戸市須磨区の社屋が倒壊。その後、プレハブの仮設社屋を経て、1996年8月に現在の神戸情報文化ビル(7階)に移転しました。震災から30年となる節目の年、これまでの「701スタジオ」に代わり、局内で最も広い「702スタジオ」を生放送のメインスタジオとして新たに整備しました。
これまではアナログの調整卓を使っていましたが、今回の改修でデジタル機材へと刷新。現場で活躍するミキサーやディレクターの意見も取り入れながら、限られた予算と期間の中でスタジオの設計が進められました。

なかでも、オーディオコンソールやスピーカーといった音響機材には強いこだわりも。複数社の製品を実際に試したり、他局の導入事例も参考にしたりしながら選定したといいます。
一方で、一部の機材は継続使用。世界的音響ブランド「Neve(ニーブ)」のカスタムトランスは、音楽的な倍音やアナログならではの暖かみのある特徴で知られていて、今後も引き続きオンエアの核を担います。

スタジオ空間そのものの設計にも、使い勝手の工夫が。従来の701スタジオはコンパクトさが魅力でしたが、新スタジオでは「視界を遮らない設計」や「ディレクターと出演者がアイコンタクトを取りやすい配置」など、広さを活かした調整が行われました。放送を重ねる中で見えてくる改善点についても、今後柔軟に対応していく方針です。また、動画配信などにも対応できるような設備も整えられています。

