陽が沈むと小さく、規則的に閃(きらめ)く赤と緑の光が、神戸ハーバーランドから見える。日本三大夜景のひとつにも上げられる神戸の夜景に溶け込んでいるその光は、神戸港、そして空気が澄んでいる時には、40数キロ先の紀淡海峡まで届く。神戸メリケンパークオリエンタルホテル(神戸市中央区)に建つ灯台の光だ。

クルーズ船や練習船、貨物船など様々な船が行き交う神戸港にはいくつかの灯台があるが、この灯台は海抜55メートルほどのホテルの最上階14階にあり、灯台自体の高さは約5メートル。神戸港では一番高い所から光を出す。ホテルにある灯台は世界ではいくつかあるが、日本ではここだけだという。

もともとこの灯台は神戸市中央区京町の「旧オリエンタルホテル」にあった。同ホテルが1964年にこの場所へ移転した際に、「港町神戸のシンボルに」という想いから、日本で初めてホテルの敷地内に灯台が設置された。
「ガラス張りの四角い灯台だったようで、今の灯台と形状が全く異なっているものだったと聞いています」と、神戸メリケンパークオリエンタルホテルの竹原陸さんは話す。
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災で、旧オリエンタルホテルは全壊、灯台も一度その幕を閉じた。その灯台を引き継ぐ形で、姉妹ホテルで同年7月に開業が決まっていた神戸メリケンパークオリエンタルホテルの14階に移設された。

ホテルの開業は7月15日だったが、これに先立ち灯台は1995年(平成7年)7月7日、午後7時7分に、777発の花火とともに点灯を再開した。その光は赤と緑。竹原さんは「当時建てられた際に、神戸の街灯りの中でも目立つようにと赤と緑が選ばれたと聞いています。かつての灯台と点灯のルールは同じで、赤と緑の光が交互に光る。光の強さも同じ。その光は空気が澄んでいる時には遠く紀淡海峡まで届くので、大阪湾全体で見ることができます」と言う。






