書き初めをはじめて実感したのですが、名前を書く緑のボードも大きいんです。そこに、「胡粉(ごふん)」と呼ばれる白い粉を水で溶かしたものを使って筆で書いていきます。
「なんか字が薄い」「字のバランスが……」「漢字の画数が多すぎて字がつぶれる」「字を間違えた」なんて、わあわあ言いながら必死で書いていきます。

しかも、乾く前にボードを立てかけると文字が垂れてくるので、仰向けに並べて書かなければなりません。そのため、スコアボードの中のスペースがどんどん狭くなってくるので、ボードをまたぎながら一生懸命書いていきます。


メンバーの名前を半分ほど書き上げたくらいのタイミングで、再びトランシーバーが鳴りました。
「先攻チームは⚪︎⚪︎高校、後攻は⚪︎⚪︎高校」
なんと! 書いていたチームの階が上下で違っていたんです。ですからあわてて、上のボードを下の階に、下のボードを上の階に入れ替えなければなりません。手分けして、細い階段で大きなボードを入れ替えていきます……。もう、汗だく!

そんな時間ロスもありながら、控えの選手の名前も含めて全員分書き終えたのがメンバー紹介のアナウンスの5分ほど前。
「間に合った!」

先発メンバーの名前をスコアボードの裏面に設置したところでアナウンスがはじまりました。
「1番キャッチャー⚪︎⚪︎」にあわせて、ボードをひっくり返します。1人ずつひっくり返すたびに、応援団の声援と太鼓の音が響いてきます。






