地球上で報告されている生物種の半数以上、約100万種の存在が知られる「昆虫」。カブトムシなどおなじみの昆虫からクモやムカデなどを含む「ムシ」たちまで、彼らの驚くべき多様性の世界を紹介する特別展「昆虫 MANIAC」が大阪市立自然史博物館(同市東住吉区)で開かれている。夏休み中の子どもたち、虫好きな大人、外国からの観光客まで、昆虫愛にあふれた入場者で会場は大盛況だ。9月23日(火・祝)まで。


同展はカブトムシ、チョウ、トンボ、ハチ、クモの仲間をそれぞれ専門とする国立科学博物館(東京都台東区)の5人の研究者が監修、さらに大阪市立自然史博物館の学芸員らが協力して構成。各コーナー冒頭に「トンボの扉」などと書かれた、扉を模したパネルを設置、マニアックな視点による研究成果や知られざる生態の解説、貴重な標本などを並べている。
たとえばハチ。働きバチが労働、女王バチが産卵という形で分業した集団生活は、ハチの仲間ではめずらしいのだそう。集団生活を行うハチの中には巣にいながら働かない“補充要員”を持つものがいたり、ほかのハチがつくった巣に産卵し、巣作りやエサ集めの手間を省く「労働寄生性」のハチも存在するという。


「素数ゼミ」の話も興味深い。アメリカとカナダには17年周期と13年周期で発生するセミのグループがいて、昨年、221年ぶりに両方のグループが同時に大発生。カナダで取材したその様子をパネルで紹介しているほか、現地で録音してきたセミの声も聞くことができる。
最大の見どころは、多様な標本だ。同じグループの虫でも色や形、大きさが種類によって異なり、生きものの中で昆虫がとりわけ多様性に富んだ生物群であることを実感。それぞれが命をつなぐために姿を変えていった様子が見て取れる。中には宝石のように輝くチョウやミラーボールの反射を思わせる甲虫なども。







