フィリピン・セブ島の人々は「運動不足」になりがち? 原因は“豊富な交通手段”? 事情通に聞いた | ラジトピ ラジオ関西トピックス

フィリピン・セブ島の人々は「運動不足」になりがち? 原因は“豊富な交通手段”? 事情通に聞いた

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 周囲が海に囲まれたフィリピンの「セブ島」。世界屈指のリゾート地として世界的に知られていますが、とある“噂”を耳にした筆者。それは、「地元民は歩くのが嫌い」というもの。真偽のほどを調査してみました。

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 セブ島を専門に扱う旅行会社、PTNトラベルの長さんによると「日本と比較すると、徒歩移動が根付いていないのは事実」とのこと。ただし「嫌い」というより「歩く習慣がない」という表現が近いのだそう。というのも島内には鉄道が存在しないため日本のように“駅まで歩く”というような行動が発生せず、幼い頃から移動するときは「ドアtoドア」が当たり前といいます。

 また、基本的に歩道の整備が進んでいないのも理由に挙げられるとのこと。「バイクやジプニー(フィリピン全土で見られる乗り合いタクシー)がビュンビュン行き交う道路は、そもそも歩行者を前提とした設計になっていません」と長さん。そうした背景から、移動手段の種類と数がとても豊富という特徴も。安価かつ、目的地までダイレクトに移動できることがほとんどだそうで、日本ではまず目にかかれない個性的な乗り物が数々存在します。

【トライシクル】バイクにサイドカーがセッティングされた乗り物。6人ほどで相乗りでき、同じ方面へ向かう客と一緒に乗るのが一般的。

トライシクル(イメージ)

【ジプニー】フィリピンの乗り合いタクシー。中型トラックの荷台に椅子と屋根を取りつけ、乗車スペースにしている。ジプニーが運行しているルート上であれば、手を挙げたらすぐに止まってくれる。

ジプニー(イメージ)

【ハバルハバル】タクシーのバイク版。ドライバーの後ろにまたがり「2人乗り」で移動。車では入れないような細い道を通行したり、渋滞を避けることができる。

 さて、このように多様な交通手段が生まれた理由のひとつには、雇用問題が関係しているといいます。「雇用も資金も不足したフィリピンおいて、賃金を得るための効率のいい職種が『ドライバー』だったのです。この国は、大卒でなければ正規雇用を得ることが非常に難しい。そのため、乗り物さえあれば仕事ができるドライバー職をチョイスする人が多いのです。この結果、移動手段の種類・数が増え、“徒歩移動しない”という国民性が形成されたのかもしれません」と長さんは分析。他には「大型の公共交通インフラに投資する余裕がない」「ライドシェア(相乗り)規制の緩さ」ということも理由に挙げられるそう。

ハバルハバル(イメージ)

 あまり歩かないとなると「運動不足」を心配してしまいますが、島の人々はどう対応しているのでしょうか?

「実際に運動不足は発生しているようですが、現地の人々は深刻に捉えておらず日本に比べると健康への意識は高くないと言えます。ただ、所得が上がるにつれて健康に目を向ける人が増えるようで、高所得者層はスポーツジムや健康食品などを利用し運動不足を補っていると聞きます」(長さん)

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 タクシーやバイクなどで移動することがポピュラーなセブ島ですが、フィリピンの首都・マニラに続き、セブ島でも鉄道の開通計画があるのだとか。具体的な時期はまだ不明とのことですが、もしセブ島で鉄道が通った場合は、交通事情に大きな変化が生まれるかもしれません。

(取材・文=つちだ四郎)

セブ島の風景(イメージ)
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