世界的デザイナー・コシノジュンコが、建設現場のワークウェアをデザイン、クレーン車も! その背景には、人との出会いがあった。建設現場で働く人々、それを支える企業。そこにデザインが加われば新たなカタチに、そしてチカラになる。コシノさんのデザインに対する思いなど、番組で語られたエピソードを再構成した。後編は「デザインと現場の交差点から未来へ」。
■デザインと現場の交差点から未来へ
人との出会いがチカラを生み出しカタチになる。
大阪出身でありながら、19歳で東京に拠点を移したコシノジュンコさんは「大阪に縁があまりなかった」という。しかし「最近急に大阪の仕事が多い。2人との出会いがきっかけかも」と話す。
コシノさんと株式会社ハマテックの代表取締役・濱中朋弘さんとの出会いは印象的だった。
コシノさんのファッションショーに、株式会社たまゆらの代表取締役・岡本哲さんと足を運んだ濱中さん。「あなたの靴、貸してもらえませんか」とコシノさんの事務所のスタッフに話しかけられた。「(男性)モデルがスニーカーを履いてきて服に合わなかった。客席を見るといい靴はいている人がいる!」(コシノさん)。サイズもぴったりで、まさに奇蹟的。その靴はランウェイデビューを果たし、持ち主は(会場となったホテルの)スリッパで観覧した。「この出会いがなければ今はないかもしれない」とコシノさんは笑う。これを機に、濱中さんは建設に対する思いをコシノさんに伝える機会を得て、イチかバチかでクレーン車のデザインを依頼。コシノさんは快諾した。「やったことないことにはとても興味がある。新たな挑戦です」。
人との出会いはクリエイティブだ。一度会うと縁になり宴席につながる。そこに集う誰もがコシノジュンコのチームに入り、その輪がさらに広がっていく。「前向きが好き。チームのみんなが前向きで、見えないけど前は明るい。そしてこのチームは仕事でなくても仲がいい」。
コシノさんはこの夏、軽井沢で絵の個展を開いた。テーマは勢い。「抽象画は勢いだから。勢いは迷わない」という。
その常に前向きな姿勢は、多くの人に影響を与えている。ラジオ番組を持っているというコシノさん。番組ではいろいろな人をゲストに招き、話をするが、「企画会議のようになってしまう。こうしたらという提案をするとみんなルンルンで帰っていく」。
もともと高校の教員だったという濱中さん。教育のマネジメントも建設業界の盛り上がりもチームワークが大事としたうえで、「部活動の延長のようにみんなが集まって1つのものをつくり上げていく。そこにユニフォームや重機があればより連帯感が生まれる。現場は情熱と感動をもっとクリエイトしていけると思う。だからもっとかっこよくあるべき。職人はもともと技術をもっていてカッコイイはず。これをもっと周りの人に感じてもらうためにかっこよくあり続けるべきだ」と話す。そのためにSNSなどで発信を続ける。

岡本さんは「ユニフォームという言葉は、unit(ひとつ)がフォーム=カタチになるという意味がある。チームがひとつになってチカラになることによって、ユニフォームが社会を変えていく。1つの思いのもと、チカラを合わせれば、橋ができて道路ができて街が変わっていく。その結果としてより良い社会ができる。そんな力がユニフォームにあるんだということをジュンコ先生に教えてもらった。これからも力をあわせて、勢いをもって盛り上げていきたい」と前を向く。






