【ポーランドジャズ紀行】(1)首都ワルシャワで実感、ポーランドジャズの神髄 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

【ポーランドジャズ紀行】(1)首都ワルシャワで実感、ポーランドジャズの神髄

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■Nikola Kołodziejczyk ニコラ・コウォジェイチク(composer, pianist)

 ワルシャワへ向かうドーハで空港の写真をinstagramにポストしたところ、「ドーハか? ヨーロッパにでも行くのか?」とオーストラリアの知人コンポーザー・メイスからのメッセージ。

「ワルシャワに行くところ」と伝えると「この人知ってるか?」と送られてきたのは他でもないニコラのインスタアカウント。「今日会うことになってるよ」と伝えると「世界は狭いな。素晴らしいコンポーザーで素敵な人だから、よろしく伝えて!」と。初対面はいつでも緊張しますが、こんな紹介が一言あるとホッとしますね。

 トマシュと会った後、近くのレストランでとてもおいしいランチをいただいてエネルギーチャージ。臨んだ2件目のインタビューがこのニコラ・コウォジェイチク。同じコンポーザーとして今回楽しみにしていたインタビューの一つでした。

 おしゃれで開放的なカフェに移動し、程なくするとジャケットに身を包んだニコラが颯爽と登場。前述のメイスの話も伝えると和やかな雰囲気でインタビューがスタート。我々の質問に的確かつ時折冗談も交えながら答えてくれました。

 ニコラは南部の古都クラクフ(ワルシャワ遷都までここにポーランド王国の首都があった)出身のピアニスト・コンポーザー・指揮者。ポーランドには今でこそ各地にジャズコースがあるようですが、当時は全国唯一のジャズコースだった南部カトヴィツェの音楽大学に進学し、コンポーザーとピアニストとしてそれぞれ学位を取得。ピアニストとしての活動に加え、コンポーザーとしては2014年の『Chord Nation』でデビューを果たし、これまでにフレデリック賞(ポーランドのグラミー賞)を二度受賞。直近では2025年にアダム・ミツキェヴィチ財団の委嘱作品『Budyń o smaku Mickiewicza』を発表。若干39歳にしてポーランドのリーディングコンポーザー・ピアニストの地位を確立したタレントです。

 今回「Jazz from Poland in Japan」で、来日する全アーティストをフィーチャーした特別編成の楽曲を新たに作曲・披露することについてニコラに聞くと、「コンポーザーにとって制約はインスピレーションの源泉になるので、編成や楽器のチャレンジは大歓迎」とのこと。

 確かに、これまでにリリースされたオーケストラ作品は名義こそ同じものの毎回異なった編成になっていて(むしろ同じ編成は退屈なのだとか……)、オーケストラ以外でもタイプライターとミシン(!)を使った作曲を手掛けたこともあるといいます。今回、大阪で披露される意欲作にも期待が高まります。

 ポーランドジャズの特徴について聞くと、「例えばズビグニェフ・ナミスウォフスキ(sax他)が民謡を取り入れるのを恐れなかったように、オープンなマインドを持っていて、様々なものをミックスするのに長けているのが特徴。きっとこれはポーランドという国が常に変化にさらされてきたことを反映しているのだと思う」とのこと。トマシュの話にもありましたが、どうやらポーランドのジャズはポーランドの歴史とも密接に関連しているようです。

 別れ際には「ワルシャワにはいつまで居るの? せっかくなので予定が合うなら後日LPやCDを渡したいのだけど」と、うれしい申し出をいただき、日を改めてもう一度会うことに。初めての来日についても「日本に行ったらレコードの針を買いたいんだ」と楽しみにしている様子。大阪での再会がとても楽しみです。

右からニコラ・コウォジェイチク、李祥太(筆者)、同行していたライターの岡崎凛氏

◆李 祥太(ジャズピアニスト、コンポーザー、100BANホールマネジャー)
2年間のニューヨークでの活動を経て2017年に帰国。神戸を拠点に活動するピアニスト・作編曲家。2017年にリリースしたアルバム「Kibo-ho」が同年のJazz Life誌New Star部門に選出。音楽活動の傍ら神戸旧居留地のライブミュージックスペース「100BANホール」の運営に携わり、国内・海外アーティストの公演開催を通じてジャズをはじめとする文化振興に取り組んでいる。

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「Jazz from Poland in Japan」
9月4日(木)〜10日(水)、ポーランドから20人以上のアーティストが一挙来日し、大阪・関西万博ポーランド館での日替わり公演に加え、梅田Blue Yard、心斎橋Space14、梅田Club Quattroでライブが開催されます。入場料は無料(要予約、飲食代別途)。ジャズ好きの方はもちろん、「ポーランドジャズとはなんぞや?」という方もこの機会にぜひご一聴を!
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