【ポーランドジャズ紀行】(2)注目ジャズバンドの音楽にみる、ポーランド人のメンタリティー | ラジトピ ラジオ関西トピックス

【ポーランドジャズ紀行】(2)注目ジャズバンドの音楽にみる、ポーランド人のメンタリティー

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■Kuba Więcekクバ・ヴィエンツェク(sax, “HOSHII”)

 慌ただしかった初日を無事終えて2日目最初のインタビューは、ホテルのロビーにて。朝8時30分(!)からでしたが、日本時間で時差ボケしている我々にはむしろ好都合。早起きで朝食もゆっくり食べ、万全の状態でインタビューに臨みました。

 インタビューのお相手はサックス奏者のクバ・ヴィエンツェク。日本語の「欲しい」から名付けたバンド“HOSHII”のリーダーです。まずは気になるバンド名の由来を聞くと、最初は友人のパーカッショニストで音楽プロデューサーでもあるアルベルト・カルフ(Albert Karch)のミュージックビデオ用に音楽を作ったのが始まりで、それをバンド化したのがこのHOSHIIであり、日本とも縁のあるアルベルト(青葉市子さんらとレコーディングやツアーの実績あり)から日本語の「欲しい」という言葉を教えてもらって名付けたとのこと。

 バンド名も相まってか、そのサウンドは昭和の日本のテクノを想起させますが、本人いわく、特に日本の音楽の影響を受けたわけではなく、生業上普段からいろいろなサウンドを探していて(サックス奏者でもあるが、7割ぐらいの時間はラッパーやシンガーの為の音楽制作に割いているのだそう)、このサウンドに行き着いたのだとか。

 ちょうどこのインタビューの2週間ほど前にリリースされていた2ndアルバムの「Yumi」では、「よりポジティブで希望が持てる音楽を作りたいと思った」といいます。「ポーランドジャズの先人たちはみんな暗い音楽を作っていた。ポーランドの過去100年は難しい時代だったので、それを反映して音楽が暗くなるのも致し方ないが、自分は明るい音楽が作りたい」。

 クバに自身の音楽遍歴について聞きました。小さい頃はチェロをやっていたが面白くなく、13歳でサックスを吹き始めた当初も依然楽しめなかったものの、あるサマーキャンプで組んだバンドで年上のバンドメンバーにインプロヴィゼーション(即興でソロをとること)するように言われ、「この経験が人生を変えた」。

 一度はオランダのアムステルダムの音楽学校へ進学するも、そこでの硬直的な教育法が合わずに中退。その後に学んだデンマークのRhythmic Music Conservatory(RMC)でクレステン・オズグッド(ドラム)をはじめとする素晴らしい先生に出会い、才能を開花させていったようです(前述のアルベルトと出会ったのもこのRMCで、全学生の10%ほどがポーランドからの留学生だったそう)。

 クバ自身は2年前にも来日しているそうですが、HOSHIIでは初来日。直近リリースした「Yumi」に収められた作品も演奏予定とのこと。ミュージックビデオも含め、独自の世界観を築き上げているHOSHIIの初来日、是非お見逃しなく!

左から、同行していたライターの岡崎凛氏、クバ・ヴィエンツェク、李祥太(筆者)

◆李 祥太(ジャズピアニスト、コンポーザー、100BANホールマネジャー)
2年間のニューヨークでの活動を経て2017年に帰国。神戸を拠点に活動するピアニスト・作編曲家。2017年にリリースしたアルバム「Kibo-ho」が同年のJazz Life誌New Star部門に選出。音楽活動の傍ら神戸旧居留地のライブミュージックスペース「100BANホール」の運営に携わり、国内・海外アーティストの公演開催を通じてジャズをはじめとする文化振興に取り組んでいる。

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「Jazz from Poland in Japan」
9月4日(木)〜10日(水)、ポーランドから20人以上のアーティストが一挙来日し、大阪・関西万博ポーランド館での日替わり公演に加え、梅田Blue Yard、心斎橋Space14、梅田Club Quattroでライブが開催されます。入場料は無料(要予約、飲食代別途)。ジャズ好きの方はもちろん、「ポーランドジャズとはなんぞや?」という方もこの機会にぜひご一聴を!
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