欧州のジャズ大国といわれるポーランド。その特徴や歴史、実情などを、神戸を拠点に活動するジャズピアニスト・李祥太さんが現地取材しました。3回にわたる【ポーランドジャズ紀行】、その後編では、世界有数のジャズカルチャーを育むジャズクラブやメディアなどを取り上げます。
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9月上旬、「Jazz from Poland in Japan」と題したイベントが開催され、大阪・関西万博ポーランド館に加えて、大阪市内のライブハウスでポーランドジャズが聴けるのですが、このイベントに先駆けて現地のジャズシーンを取材すべく、先日ポーランドまで出張してきました。多様なポーランドジャズの謎をひも解きつつ、旅の様子とともに「ポーランドジャズ紀行」として紹介します。
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■ワルシャワのジャズヴェニュー
ジャズシーンを語る上で欠かせないのが“venue”(ヴェニュー)=ジャズクラブの存在です。
「Jassmine (ジャスミン)」は、2020年にNobu Hotel Warsaw(世界的日本食レストラン「Nobu」の系列ホテル)の地下にオープンしたまだ新しいジャズクラブですが、ポーランドの第一線のアーティストはもちろん、Joshua RedmanやAaron Parks、Immanuel Wilkins、Shai Maestroといった世界の第一線のアーティストが出演するジャズクラブです(アーティストのラインナップとハイクラスな店構えは、ポーランド版のブルーノート東京といった感じでしょうか)。
今回の滞在中にも、前述(中編)のEABSとKasia Pietrzko Trioを聴きに伺いましたが、いずれの日も見る限り満席。若い世代のオーディエンスも多く見受けられ、ポーランドでジャズが「現在進行系」の音楽として受け止められているのを感じました。


そしてもう一か所、訪ねたのは、石造りの古い建物の中にある「Klub SPATiF」。ビルを入って少し階段を昇り、右手にあるお店に入ると、バーカウンターのあるいい雰囲気のスペースと、その右側にはライブスペースがあり、どちらも多くの人でにぎわっていました。
ウェブサイトによると、同所はライブスペースと飲食スペースが併設されているようで、レストランやバーとしても楽しめるのだそう。毎週水曜日に「Jazz State」という若手バンドをフィーチャーしたライブ&ジャムセッションの日を設けており、この日もまだ10代と思われるトリオがいきいきとした演奏を繰り広げていました。
到着初日で時差ボケの我々はジャムセッションまで待てずに退散してしまいましたが、あとに続くジャムセッションには、第一線で活躍するミュージシャンもよく顔を出すのだとか。大学生ぐらいかな(?)という年齢のオーディエンスも多く、とても活気のあるジャズクラブでした。







