
一方、国立民族学博物館で開催されている「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。―群れる―」も興味深い。俳優・アーティストとして活躍するのんさんが手掛けたリボンアート作品が、地下空間に建つ秘密めいた小屋内に展示されている。
のんさんはこれまでも、リボンを使ったアート作品を多数発表してきた。今回の展示では、古民家風にしつらえたスペースに、福島県会津地方の伝統工芸品「赤べこ」をモチーフにした「赤べこ白べこの部屋」や、座敷童から着想した「真っ赤童の巣」などを紹介。すべての作品にリボンをまとわせ、かわいらしくも謎めいた雰囲気を生み出している。


目玉は、人の身長よりも大きなこけし15体が整然と並び立つ「こけし灯篭街道」。一体一体異なる顔の造形や柄、背中のリボン装飾が見どころで、リボンのかわいらしさだけでなく、多数のこけしが居並ぶ「不気味さ」、作品が「群れる」ことで生まれる独特の効果など、のんさんならではの世界観を味わえる。

そのほか、▽大阪・関西万博会場内 野外彫刻や壁画など13のパブリックアートを展示▽西成エリア 高度経済成長期に多くの労働者が集まり、今も社会の変化と向き合い続ける同エリアでは、アジア各国の多様な作家が滞在しながら制作し、地域や来場者とともに対話を重ねるプロジェクトを展開▽船場エリア 大阪の産業を支えてきた本町にある同エリアにある船場エクセルビルを会場として、関西ゆかりのアーティスト作品を集めた展覧会を開催―など多彩なプログラムがそろう。

同芸術祭の墨屋宏明コミュニケーションズ・ディレクターは、「国立民族学博物館は1970年大阪万博跡地の万博記念公園にあり、船場エクセルビルもその少し前に建った建造物。すべての会場を巡ることで、70年から現在、そして未来へと続く大阪を体感できるのでは。芸術祭を通じて関西・大阪の魅力を世界へ発信し、アートとともに5年後、10年後の大阪の可能性を描き出していきたい」と話している。
◆「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」
会期:2025年4月11日(金)~10月13日(月・祝) ※会場によって会期は異なる
会場:大阪・関西万博会場内、大阪文化館・天保山、うめきたエリア、中之島エリア、船場エクセルビル、西成エリア、松原市エリア、国立民族学博物館ほか
チケット:各会場に1度ずつ入場できる展覧会パスポート(一般3500円、学生3000円)など ※大阪・関西万博会場へは芸術祭のチケットでは入場できない
大阪関西国際芸術祭公式HP https://osaka-kansai.art/





