海を臨む壮大な景観、緑豊かな森、その中に点在する多彩なアート作品。神戸・六甲山上を舞台とした現代アートの芸術祭「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」が賑わいを見せている。奈良美智、やなぎみわ、川俣正ら著名作家を含む61組(うち公募による参加は15組)のアーティストが多彩な作品を出品。美しい自然の中、至近距離でさまざまな意欲作を鑑賞できる絶好の機会だ。会期は11月30日(日)まで。
見どころの一部をおおむねエリアごとに3回に分けて紹介する。
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「神戸六甲ミーツ・アート」はこれまで国内外の580組以上のアーティストが参加。展望台や登山道、園地、屋内施設などに彫刻やインスタレーションが展示され、来場者はそれぞれのペースで歩きながら、時間をかけて味わうことができる。山とアートを同時に楽しむ機会として年々人気が高まっており、昨年の有料エリア入場者数は過去最高の約3万5千人となった。
16回目を数える今回のテーマは「環境への視座と思考」。六甲山は中世以降、樹木など天然資源の乱獲によって荒廃したが、明治期に神戸を訪れた外国人など多くの先人たちの努力によって現在の緑豊かな環境を取り戻した歴史を持つ。

会場はいずれも六甲山上で、「六甲ケーブル(六甲ケーブル下駅・六甲山上駅)」「天覧台」「兵庫県立六甲山ビジターセンター(記念碑台)」「六甲山サイレンスリゾート(旧六甲山ホテル)」「ミュージアムエリア(ROKKO森の音ミュージアム・六甲高山植物園・新池)」「トレイルエリア」「みよし観音エリア」「六甲ガーデンテラスエリア」「風の教会エリア」の9つのエリアから成る。
■六甲ケーブル(六甲ケーブル下駅・六甲山上駅)/天覧台
会場へ向かう公共交通機関の1つは、六甲ケーブル。六甲ケーブル下駅(神戸市灘区)から約10分で六甲山上駅に到着する。同駅は1932(昭和7)年開業、駅舎は当時のままアール・デコ様式を伝えている。駅舎内の階段踊り場に、どこかメルヘンチックな小さなドアがある。その向こう側に見えるのが須田悦弘の「ササユリ」だ。ドアは数センチしか開かないため隙間からのぞくしかないのだが、白いユリの立体作品を確認できる。駅舎内にはほかに「ノブドウ」「リンドウ」もある。
駅から出て階段を上ると、眺望の開けた天覧台に出る。その一角に設置された小屋の中には山田毅「自動れきしはんばいき」がある。自動販売機では、山田ら“調査隊”が六甲山で収集したさまざまなものを、歴史などを記した調査シートとともに箱に入れて販売している。訪れた人に持ち帰ってもらい、六甲山の歴史に触れてもらおうとのコンセプトだ。1つ500円。








