【マドリスト必見】この家に住みたい! 50~100年前の名作住宅を紹介した展覧会 兵庫県立美術館 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

【マドリスト必見】この家に住みたい! 50~100年前の名作住宅を紹介した展覧会 兵庫県立美術館

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「もし自分がここに住むなら」。鑑賞者に夢の住まいをイメージさせる展覧会が兵庫県立美術館(神戸市中央区)で開かれている。50~100年前、実際に建てられた住宅を紹介しながら、モダニズム建築が目指した理想の暮らしをひもとく特別展「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」。リアルな模型や図面、写真に加え、洗練された家具、テキスタイルも並び、建築好きのみならず、間取り図を見るのが好きな「マドリスト」も必見の展示内容だ。

リナ・ボ・バルディ カサ・デ・ヴィドロ 1951年

 本展では、1920~70年代にかけて各国で建てられたモダン・ハウスの試みを多角的に検証する。会場では“名作”14邸を年代順に紹介。「衛生」「素材」「窓」「キッチン」「調度」「メディア」「ランドスケープ」の7つの切り口で、理想の生活を追い求めた建築家たちの実験をたどることができる。

フランク・ゲーリー フランク&ベルタ・ゲーリー邸 1978年 (c)Frank O. Gehry. Getty Research Institute, Los Angeles(2017.M.66)

 展示はモダニズム建築の巨匠、ル・コルビュジエの「ヴィラ・ル・ラク」(1923年)の窓辺を再現した原寸大模型から始まる。建築家が高齢の両親の家としてスイス・レマン湖畔に建てたもので、横幅約11メートルに及ぶ一直線の窓は圧巻だ。現地で窓はリビング、寝室、浴室の南面に連続して設置され、湖やアルプスの山々が刻々と変化するさまを間近で感じられるしつらえだったという。バリアフリーで移動できる機能性もさることながら、陽光を長時間採り入れ、景観を最大限に生かした工夫に、両親への深い愛情を感じずにはいられない。

ル・コルビュジエ「ヴィラ・ル・ラク」(1923年)の窓辺を再現した原寸大模型(「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」兵庫県立美術館 展示風景)

 菊竹清訓と菊竹紀枝が設計、居住した「スカイハウス」(1958年)もインパクトが大きい。1辺約10メートルの正方形のワンルームが鉄筋コンクリートの4本の壁柱で地上約5メートルの空中に持ち上げられた斬新な構造だ。2人は住宅を居間や寝室などの「空間装置」と、水まわりがあるキッチンや浴室などの「生活装置」とに分けて考えた。生活装置を家族の形態や生活の変化に対応して更新していく「ムーブネット」と捉え、実践した。今から70年前の発想とは思えない大胆かつ合理的なアイデアに驚かされる。スカイハウスは先駆的な試みとして今年5月、国の重要文化財への指定が答申された。

菊竹清訓、菊竹紀枝 スカイハウス 1958年(「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」兵庫県立美術館 展示風景)

 そのほかキューブ状の2つの建物を片方45度ずつずらして接続、リビングの窓に景観や風を楽しむ仕掛けを施した「フィッシャー邸」(ルイス・カーン、1967年)、日本の気候風土や生活様式を意識した木造モダニズムの傑作「聴竹居」(藤井厚二、1928年)など見どころは多数だ。

ルイス・カーン フィッシャー邸 1967年(「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」兵庫県立美術館 展示風景)
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