日本とアイルランドは、ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』や、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の『怪談』などの文学作品を通し、長きにわたり深い交流関係を築いてきた。
こうしたことから、プラム・ストーカーが『ドラキュラ』を執筆する前に調査に訪れたマーシュ図書館(トリニティ・カレッジ図書館)に伝わる貴重な楽譜も取り上げた。

こうして、中世アイルランドの聖歌と、数百年受け継がれてきた日本の「オラショ」という祈りの伝統が響き合った。
「オラショ」は、16世紀にキリスト教が日本に伝わった際、宣教師が伝えたラテン語・ポルトガル語の祈りの言葉を、潜伏したキリスト教徒(隠れキリシタン)が口伝えで継承したもの。


兵庫県芦屋市の40代の女性は、「この世にこんな美しい歌声があるのかと驚いた。透き通るガラスのような聖歌に生で触れることができるのも万博の魅力。そして、ハロウィーンはお祭りではなく、移ろぐ季節を静かに感じるものだと教えられた」と話した。


これらのイベントはすべて、アイルランドの首都・ダブリン市議会主催の「ブラム・ストーカー・フェスティバル」のプログラムの一部で、アイルランド外務貿易省とダブリン市議会が資金を提供している。
このフェスティバルは、プラム・ストーカーの文学的功績を称え、毎年ハロウィーンの時期に生誕地・ダブリンで開催されている。

※グレゴリオ聖歌〜ローマ・カトリック教会の典礼で歌われる、単一の旋律、無伴奏の宗教音楽。8世紀から9世紀頃に西ヨーロッパで発展した。中世の音楽に大きな影響を与え、現代でも「癒しの音楽」として注目されている。






