金融機関・但馬信用金庫の演劇部が描く「地域貢献の新たな形」 営業終了後の店舗での上演で話題に | ラジトピ ラジオ関西トピックス

金融機関・但馬信用金庫の演劇部が描く「地域貢献の新たな形」 営業終了後の店舗での上演で話題に

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 店舗営業終了後、地元信用金庫で演劇が上演されるというユニークな演目もあり話題となった、『豊岡演劇祭2025』(9月11日〜23日)。平田オリザさん(劇作家・演出家)のラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)では、その立役者らが出演。経緯と意義を語った。

 但馬信用金庫(本店・兵庫県豊岡市)で、驚くべき演劇プロジェクトが展開された。金融機関の職員たちが立ち上げた演劇部、その名も「たんしん演劇部」が地域に新たな風を吹き込んでいるという。

 プロジェクトの発端は、こうだ。今年4月に入職した加藤碧(あおい)さんと稲子朋花さんは、芸術文化と観光を専門的に学ぶことができる日本初の公立大学「芸術文化観光専門職大学(以下、CAT)」(兵庫・豊岡市)の1期生。ともに、同大学入学を機に4年間を兵庫県豊岡市で過ごした県外出身者だ。

 地元や都心での就職ではなく豊岡を選んだことについて、2人はこのように語った。

「私は愛知県豊橋市出身で、高校生のころから地元の劇場で舞台に立っていましたが、大学在学中に専攻を“舞台芸術”から“観光”に変更しました。豊岡の観光資源が本当に魅力的で! 地域資源をいかす仕事がしたいと思い、(豊岡に)残りました」(稲子さん)

「私は愛知県岡崎市の出身で、大学在学中のさまざまな活動を通して、本当に多くの人と関わりました。この人脈を途切れさせてしまうのはもったいない。一方で、演劇も続けていきたい。そう考えたときに『豊岡演劇祭』もあり、培った人脈もある但馬に残るほうが演劇にも関わることができるのではないかと思い、決意しました」(加藤さん)

 そんな2人が演劇部を立ち上げた……のでは、ない。キーパーソンは、人事部次長の小山尚之さんだ。なんと小山さんは、同大学が創設される5年前から演劇部設立を構想していたという。

 個人的に演劇活動を行ってはいたが、豊岡演劇祭の参加を通じて「地域の方々に演劇のおもしろさを伝えたい」という明確なビジョンも持っていた。当初は「あり得ない」と思われていた企画だったが、加藤さんと稲子さんの入職により創部が現実のものとなった。

 小山さんが、ある役員に「地域に貢献するためにクオリティを重視した演劇部を創設したい」と思いを伝えたところ、「よし、やろう!」と快諾。金融機関演劇部が発足した。

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