神戸・東遊園地で150周年記念セレモニー 日本初の西洋式運動公園、阪神・淡路大震災の記憶伝える場

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 神戸市役所南隣にある公園「東遊園地」(同市中央区)が都市公園として制定されてから150年を迎えたのを記念し、5日、同公園で関係者によるセレモニーが開かれた。参加した久元喜造・神戸市長らは、東遊園地のこれまでの歩みを振り返りつつ、今後も多くの人に交流の場として親しまれ、発展するようにと期待を寄せた。

セレモニーでは、神戸市消防音楽隊の演奏が披露された(2025年11月5日、神戸市中央区の東遊園地)

 東遊園地は1875(明治8)年、神戸の外国人居留地内に日本初の西洋式運動公園として誕生。クリケットやサッカー、ラグビーなど西洋のスポーツが行われたことで知られ、日本の近代スポーツ発祥の地とされる。大正時代は外国人と日本人が共に利用、太平洋戦争中は防空訓練の実施場所に。戦後しばらくは連合国軍に接収された。1995年の阪神・淡路大震災では避難や支援活動の拠点となり、2000年、犠牲者の名前を刻む「慰霊と復興のモニュメント」を設置。毎年1月17日の鎮魂行事「1.17のつどい」や「神戸ルミナリエ」が開催されるなど、震災の記憶を後世に伝える象徴的な空間となっている。

大正時代の東遊園地(神戸市提供)

 近年は芝生広場の大規模整備に加え、カフェ、レストラン、建築家の安藤忠雄さんが手掛けた「こども本の森 神戸」も開設、2023年に全面リニューアルした。マーケットや地域イベントなどが開かれ、緑とにぎわいが共存する人気の都心公園として生まれ変わった。

 セレモニーは園内のガーデンステージで開催。久元市長は「東遊園地は、かつてはあまり人影がなかったが、皆さんからの要望や市民、民間の協力によって雰囲気がだいぶ変わった。見違えるようになり、たいへんありがたい」とあいさつ。「東遊園地がこれからもたくさんの人に愛され、親しまれ、神戸市外からも多くの人に来てもらえるような交流の場であり続けてほしい」と語った。

フラワーロード沿いに緑のオアシスが広がる(東遊園地)
芝生広場ではさまざまなイベントも開催される(東遊園地)

セレモニーであいさつする神戸市の久元喜造市長(2025年11月5日、神戸市中央区の東遊園地)
150周年を機につくられた書籍「東遊園地 150周年記念ブック~記憶を、続けていく。~」

 蓑茂寿太郎・東京農業大学名誉教授(造園学)は「都市公園新時代を神戸から」と題して講演。「歴史を振り返るのは未来を展望するため。皆さんにも創造的に次を考えてもらえたら。これから神戸がもっと大きく広がるためには、人材が必要」と述べた。式の終盤には、150周年を機につくられた書籍「東遊園地 150周年記念ブック~記憶を、続けていく。~」(770円、園内カフェなどで販売)も紹介された。

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