神戸をはじめとするまちの風景を空から見た鳥瞰(ちょうかん)図として描き、記録し続けている絵師、青山大介さん。青山さんの代表作「みなと神戸バーズアイマップ」の改訂最新版「2025年版」が完成し、北野町(神戸市中央区)のギャラリーで初公開されている。阪神・淡路大震災から30年を経た本年1月17日の神戸市中央区を描いたもので、青山さんが「今やれるすべてを注ぎ込んだ」と語る力作だ。
青山さんは1976年神戸市生まれ。高校時代に鳥瞰図絵師・石原正さん(1937~2005年)の作品に感銘し、自らも同じ道を志すように。1995年の阪神・淡路大震災では住んでいた長田区の自宅が全壊。その数日後から「惨状を記録しなければ」との思いで周辺を撮影して回り、鳥瞰図的なイラストをつづった。


「みなと神戸バーズアイマップ」は、神戸港、三宮、元町界隈を中心に描いた作品で2008年版を皮切りに2014年、2017年と改訂を重ねた。いずれも同じ角度、エリアを描画、見比べると街並みの変化がよく分かる。3回目の改訂となる今回は、震災30年を機に、これまで描いていなかったJR線の北側、ポートライナー線の東側も画面に描き加えた。
青山さんの取材はヘリコプターとまち歩きの2本立て。今回は2025年1月17日午前、チャーターしたヘリコプターに乗り込み、“鳥の目”で約1000枚の写真を撮影した。1月初めから下旬にかけては、カメラを片手に幹線道路から小さな路地までくまなくウォーキング。マンションやビルの窓の数、街路樹の本数まで作品に反映させるため、地上では6000枚ほどシャッターを切った。
この数年で大きく変化したのは、アリーナや水族館ができたウォーターフロント地区だが、中央区内には建て替えられたビルやマンションも多数ある。最新版には、それら一棟一棟の変化とともに整備された東遊園地、完成した区役所の入るビル、工事が進む市役所2号館なども落とし込んだ。

作品をよく見ると、神戸税関などに弔意を示す半旗が描かれ、1.17だけの風景が切り取られているのが分かる。「画面の瞬間が50年先、100年先にも残ると意識した。責任を感じながら描いた」(青山さん)。白地図にトレーシングペーパーを重ねて、撮影で得た情報を描き込む作業に約7カ月を費やした。「全力で取り組んだ集大成。次またできるかは自分でも分からないです」と話す。
「みなと神戸バーズアイマップ2025」は、北野のギャラリー「Bricolage(ブリコラージュ)」で開かれている個展「都市の鳥瞰図展」で30日(日)まで公開されている。また、同展を含む北野のアートイベント「KITANOVEMBER(キタノヴェンバー)」も開催中で、神戸北野美術館など周辺施設でも多彩な作品を鑑賞できる。詳細はインスタグラム「kitanovember2025」で。





