「劣悪な環境で保護したお母さん犬のおなかにいたんですよ」
今でも忘れられない。2年前に筆者が保護犬を迎え入れたときに聞かされた、保護団体からの一言だ。
保護犬サイトにあった、募集の経緯は「ブリーダー廃業」というシンプルな言葉だけだった。

筆者のもとにやってきた保護犬だけが特別なケースではない。様々な経緯で保護団体に引き取られる犬が多くいる。
今回、その実情を知るべく、和歌山県にある犬の保護や里親探しなどの活動を行っている「Wanlife(ワンライフ)」の代表・島田香さんに話を聞いた。
島田さんは実際に保護現場に足を運んで、犬の環境改善のために勢力的に活動している。


今回の取材で最初に聞いたのは、「悪徳ブリーダー」と呼ばれる人たちは、いったい何をしたのかについて。その答えは、耳をふさぎたくなるような現実だった。
劣悪な環境での無茶な繁殖や、体格差のある犬種同士の交尾をさせていわゆる「ミックス犬」や「小さい犬」を産ませるなど……。その行為は母体にも負担がかかり、命を落とす場合や、産まれた子犬に障害が残る可能性がある。
それでも、無事、健康で産まれ子犬には何百~何千万円の価値がつく。
そのため、中には、全身を病に侵されて寝たきりになった犬にまで、最後に子犬を産ませようとするブリーダーもいるという。
では、障害のある子犬や年老いた犬はどうなるのだろうか……。
保健所に引き取ってもらうにも条件があるため、水もエサも与えず餓死させたり、冷凍庫に入れたり、中には業者にお金を渡して山奥で処分したり、大型の犬種がいるところに小型犬を掘り込んで食べさせたり……想像を絶する行為があるのだと、島田さんは語る。
さらに残念なのが、このようなブリーダーは、いったん廃業に追い込まれても、周りのブリーダー仲間に助けてもらったり、名前を変えて新たな場所で同じことを繰り返すそう。







