水素燃料電池とリチウムイオンバッテリー、バイオディーゼルによる世界初のハイブリッド型電気推進システムを搭載した水素燃料旅客船「HANARIA(ハナリア)」が神戸港(神戸市)にこのほど入港、27日、記念のセレモニーが停泊中の船内で開かれた。同システムの水素燃料旅客船が神戸港に来たのは初めて。

HANARIAは「商船三井テクノトレード」(東京都千代田区)が保有する全長33メートル、総トン数238トン、旅客定員103人の旅客船。船舶として世界で初めて水素燃料電池、リチウムイオンバッテリー、バイオディーゼルを組み合わせたハイブリッド型電気推進システムを採用、ゼロエミッション航行を可能にした。同船はこの技術革新が評価され、「シップ・オブ・ザ・イヤー2024」と「Marine Engineering of the Year(土光記念賞)2024」を史上初めて同時受賞している。


セレモニーは同船2階デッキで実施。商船三井テクノトレードの福島正男社長は「水素の開発、利活用に力を入れている神戸に寄港できて光栄。たくさんの神戸市民にシップ・オブ・ザ・イヤーを獲得した船を実際に見てもらいたい」とあいさつ。神戸市港湾局の和泉智久副局長は「昨日体験クルーズに参加し、初めてゼロエミッション航行を体験したが、想像以上に静かで驚いた」と感想を述べ、「今回の入港が地元企業や市民の水素エネルギーへの理解につながれば」と期待を寄せた。

HANARIAは通常、門司港・小倉港・唐戸港を結ぶ関門海峡周遊クルーズとして運航されているとともに、環境性能を備えた次世代型旅客船の先駆けとして注目されている。神戸港には24日に入港しており、12月1日に出港する。滞在期間中の29日、一般公開が行われる予定。一般公開の詳細は「テクノオーシャン2025 船の一般公開(船内見学会案内ページ)」で検索のこと。





