刀剣ファン要チェック!透鐔(すかしつば)が集結 特集展示「デザインの玉手箱・鐔」 大阪歴史博物館 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

刀剣ファン要チェック!透鐔(すかしつば)が集結 特集展示「デザインの玉手箱・鐔」 大阪歴史博物館

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 刀剣の柄と刀身との間にある金具「鐔(つば)」。江戸時代の鐔に施されたさまざまな意匠を紹介する特集展示「デザインの玉手箱・鐔」が大阪歴史博物館(大阪市中央区)で開かれている。直径10センチにも満たない小さな“キャンバス”に動物や風景などを巧みに表現、当時の職人らが追求した奥深いアート世界を楽しめる。2026年1月12日(月・祝)まで。

大阪歴史博物館

「鐔」は、刀装具の中でもひときわ目立つ存在。中でも切り透かして装飾された鉄製の鐔「透鐔(すかしつば)」には、考え抜かれた意匠と時代の美意識が凝縮されている。今展では、関西随一を誇った刀装具コレクター、勝矢俊一さん(1895〜1980年)が収集した927点の寄贈品から、未公開作を含めた約40点の透鐔に焦点を当てた。

会場入口

 馬やウサギ、波、紅葉、山水…。作品には、多彩なモチーフが鉄地に巧みに表され、まさに「デザインの玉手箱」そのもの。馬を透かし彫りにした「馬透鐔」は、似た構図ながら馬の顔やたてがみの描き方が少しずつ異なる6点が並んだシリーズで、写し崩れなのか意図的なデフォルメなのか不明な部分も。見比べる鑑賞者の想像力をかき立てる。

馬透鐔 銘 以南蛮鉄鍛之 馬□□/源□□
馬透鐔 無銘

「山水図鐔 銘 染谷知信」は、縦長の地板に橋を渡る人物、家屋、山を配し、まるで水墨画のような世界が展開。凹凸による遠近感がこまやかな造形美に奥行きを与えている。そのほかチョウの羽根や触覚、目を左右対称に置き、垢抜けたデザインの「蝶透鐔 銘 国永」、「古事記」の「三輪山伝説」を題材に、糸巻きの糸が鳥居をくぐっている場面を表現した「三輪山図透鐔 無銘」など、見どころは多数。さらに関連展示として、鞘(さや)の裏側に装着する小刀の柄「小柄(こづか)」も15点公開している。

蝶透鐔 銘 国永
山水図鐔 銘 染谷知信(印)

 当時の武士や職人らにとって、鐔とはどのようなものだったのだろう。展示を担当した内藤直子学芸員は、たとえとして「腕時計」を挙げる。「私たちが腕時計を選ぶ時、文字盤の見やすさや快適な装着感といった機能性に加えてデザイン、金額を総合して判断するように、当時の人々は鐔を選んでいたことでしょう。透かした時の左右と上下のバランスは大事だし、重量感は好みが分かれるところだったのでは。その上で気の利いたデザインにしなければならなかった職人はたいへんだったと思う」と推測。来場者に向けて、「今回の展示は、見てそのまま楽しめることを目指した。あまり難しく考えず、面白い構図だなと思いながら観賞してほしい」と話した。

展示の様子
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