12月に入り、暦のうえでは二十四節気の「大雪(たいせつ)」を過ぎ、やがて1年で最も昼が短くなる「冬至(とうじ)」を迎えます。
冷たい空気が肌を刺し、まちの灯りがどこかあたたかく感じられるこの時期。いよいよ、年の瀬の気配が濃くなってきました。
自宅の大掃除に取りかかる人も多いこの季節。じつは、日本各地の神社にも、古くから“年越しの準備”として大切に守られてきた行事があります。そのひとつが、大掃除にあたる神事「煤払(すすはら)い」です。
「播磨国総社射楯兵主神社(兵庫県姫路市)では、毎年12月14日に煤払いが行われます」と話すのは、同神社祭務部の尾崎祐彦さん(※尾崎の「崎」は、たつさき)。
これは、社殿や境内に積もった1年分の汚れや穢(けが)れを払い、新たな年の神様を清らかな状態で迎えるための大切な神事です。

尾崎さんによると、『射楯兵主神社史』という書物には、煤払いは遅くとも西暦1570年には行われていたと記されているのだそう。450年以上にわたり受け継がれてきた、地域に根づく年中行事でもあります。
当日は、神社職員が総出で境内を整え、新年への静かな緊張と清々しさがただよいはじめます。


翌15日になると、境内はいよいよ“お正月モード”へと色づきます。この日から正月限定の破魔矢や福扇、干支の置き物などの授与がはじまり、同時に境内の約40か所の注連縄(しめなわ)が新しく張り替えられます。
「注連縄の張り替えは、かつては神社職員だけで行われていましたが、いまでは、氏子地域の総代や世話掛が奉仕として参加します」と、尾崎さん。
“世話掛”とは、神社と地域の町内会とをつなぎ、日ごろから地域と神社の橋渡し役を務める人々のこと。新年を迎える準備が、地域の力で支えられていることがよくわかります。







