日本一短いローカル私鉄 廃線危機とその特殊な理由 和歌山・紀州鉄道『御坊』→『西御坊』をたどる

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 次は唯一の有人駅『紀伊御坊』。ここに紀州鉄道の事務所があり、車庫では週末の運行を担当するもう一つの現役車両「KR301」が留置されていました。また、この駅には2009年まで走っていたキハ603や、2017年まで走っていたレールバス・キテツ2も静態保存されています。

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 そして駅近くには地域の基幹病院「ひだか病院」や、麻雀パイの製造シェア国内一を誇る大洋化学もあります。

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 紀州鉄道は基本1時間に1本の運行なので、途中駅での列車すれ違いはいっさいありません。また専用社員も極めて少ないため、一人の乗務員が始発から最終までをひとりで運行を担当することもあるようです。

 そんなユニークな鉄道会社にここへきて大きな動きがありました。2022(令和4)年、紀州鉄道は中国系の不動産・リゾート開発会社に買収されその傘下に入ります。そして親会社は赤字部門の鉄道をどこか他社に引き継いでほしい、譲渡したいという方針を打ち出したのですが、はたして手を挙げる企業は現れるのでしょうか。

 話題を沿線リポートに戻しましょう。列車はこのあと『市役所前』に停車し、始発『御坊』から所要わずか8分、運賃180円で終点『西御坊』に到着です。無人駅の超レトロな駅舎や待合室には、開業時の面影がしっかり残っています。当駅の始発は6時25分と遅く、最終は19時(午後7時)55分と早いですよね。

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 かつて、ここは西本願寺・日高別院の寺内町としてにぎわったところで、「御坊」の地名は、ここが「日高御坊」と呼ばれたことに由来しています。境内にあるシンボルの大きな銀杏の木は樹齢400年・高さ18メートルを誇ります。

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