北朝鮮拉致問題「会いたい、きょうだいだから…」有本恵子さん姉妹、父母の遺志継ぎ早期帰国願い訴える

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 北朝鮮による拉致被害者を取り上げたパネル展が10日、神戸市中央区の兵庫県警本部などで始まった。

パネル展を訪れた有本恵子さんの姉・北谷昌子さんと妹・郁子さん(手前)〈2025年12月10日 16時58分撮影 神戸市中央区・兵庫県警本部〉

 パネル展初日には、留学先のイギリス・ロンドンで消息不明となった神戸市長田区出身の拉致被害者、有本恵子さん(失踪当時23歳・現在65歳)の姉・北谷昌子さん(69)、妹・郁子さん(64)が訪れ、早期帰国に向けて拉致問題解決を訴えた。兵庫県警でのパネル展は16日まで。

有本恵子さんは1983(昭和58)年にロンドンで失踪した

 拉致問題を風化させず、拉致被害者らの情報提供を広く呼び掛けるため、「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」(毎年12月10日~16日)に合わせて開催。恵子さんと同じく神戸市出身の拉致被害者・田中実さん(失踪当時28歳)、このほか兵庫県内で拉致の可能性が排除できない特定失踪者の男女27人の顔写真やプロフィールを紹介している。

 恵子さんはロンドンでの留学を終えてヨーロッパを旅行中の1983(昭和58)年に消息を絶った。“よど号ハイジャック事件”のメンバーらによってデンマークのコペンハーゲンに誘い出され、そこから北朝鮮へ拉致されたとされる。
 あれから42年。日本人拉致被害者に関しては、5人が帰国した2002年10月以降、新たな帰国者がおらず進展がない。

 恵子さんの父・明弘さんは、妻の嘉代子さんとともに、外務省や警察庁などに何度も足を運び、安否確認を求め続け、2002年3月に政府に拉致被害者と認定された。救出運動に尽力してきたが、恵子さんへの再会を果たせぬまま、嘉代子さんは2020年2月に94歳で、明弘さんは今年(2025年)2月14日、96歳で亡くなった。

 拉致被害者の親世代で健在なのは、横田めぐみさんの母・早紀江さん(89)1人となった。

ありし日の有本明弘さん パネル展には毎年訪れていた(2023年12月撮影)
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