コロナ禍以降、リモートでのコミュニケーションが増えた現代において、ユニークな理論をもとにした「人とのつながりを感じられるゲーム」に注目が集まっています。このゲームアプリを開発した株式会社ブルースプリングの代表取締役社長・川本潤さんに話を聞きました。

もともとは通信制高校の起業コースで、川本さんが生徒たちと一緒にクラウドファンディングで資金を集めて設立した同社。“6人の知り合いをたどれば、世界中の誰にでも会えるのか?”ということを検証する、学生発の社会実験アプリ「ヒトガチャ」を開発しました。
会いたい人をターゲットに設定して、知り合いにバトン(URL)を渡すだけのシンプルなゲームですが、うまくいけば憧れの社長や推しにメッセージが届くという仕組みとなっています。川本さんによると、このアプリは『六次の隔たり』という言葉から生まれたのだそう。
「元々は1960年代に、イェール大学のスタンレー・ミルグラム教授が行った『スモールワールド実験』という有名な研究から生まれた言葉です」(川本さん)

その実験というのは、アメリカの中西部に住む一般の人たちに『ボストンに住む、会ったこともない株仲買人に手紙を届けてください』と依頼するというもの。
「郵送が禁止される中、ルールはたった一つ『自分の知り合いに手渡しでバトンタッチしていくこと』だけ。 そんな無茶な方法で本当に届くのか? と思われたんですが、結果は、平均して5〜6人を経由するだけで、無事に手紙が届いたんです」(川本さん)

この理論を用いると、6人を経由することで世界中の人とつながるそう。川本さんは「もし、一人に50人の『知り合い』がいるとします。 その50人が、さらに別の50人に紹介してくれたら2500人。それを6回繰り返すと、なんと150億人以上と繋がれる計算に。今の世界人口は約80億人ですから、計算上はたった6回バトンを渡すだけで、世界中の全ての人をカバーできてしまいます」と説明。
最後に、アプリ開発のきっかけについて川本さんは次のように述べています。「昨今、生まれた環境を選べないことを“親ガチャ”と言うことがあります。ですが、こうした運任せではなく自分の力で回す“人生ガチャ”があってもいいのでは?……という思いが発端でした。『出会い』は自分の手でたぐり寄せられるはずだと信じています」。
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離れた場所にいても人とつながることができるアプリを調べると、開発チームの“出会い”に対する信念を知ることができました。
(取材・文=迫田ヒロミ)
※ラジオ関西『Clip』2025年12月23日放送回より






