プロ野球・阪神で活躍し、チームメイトやファンに愛された、横田慎太郎さん。長く苦しい闘病を経て、2023年7月、わずか28歳でこの世を去りました。その生涯を描いた映画『栄光のバックホーム』は、いま、多くの人々の心を深く揺さぶっています。その作品を手掛けた秋山純監督と、主演の松谷鷹也さんが、このたびラジオ番組に出演し、横田さんやこの映画への思いなどを語りました。

同作で監督を務めた秋山純氏は、テレビ朝日の新入社員時代に横田さんの父で元ロッテの横田真之氏を取材した縁から、慎太郎さんのことを入団前から知っていました。
鹿児島実業高校で圧倒的な打力を誇り、阪神からドラフト2位で指名された期待の若き選手。明るい未来が、確かに開かれているはずでした。
しかしある日、球場から横田さんの姿は突然消えます。その理由は、脳腫瘍でした。
秋山監督は当時を振り返り、慎重に言葉を選びながら続けました。
「頑張ってリハビリをして、もう一度グラウンドに立とうとしていたけれど、なかなか目の状態が回復せず……」(秋山監督)
そして迎えた引退試合。外野からホームへ放たれた渾身のバックホームは走者を刺し、球場は歓声と涙に包まれました。
「すごい。『本当に神様っているんだな』と思いました」(秋山監督)
その瞬間こそ、秋山監督が「映画にしよう」と決意した原点でした。
映画の原作となる書籍制作のため、秋山監督は何闘病中の横田さんとのリモート取材を何度も重ねました。しかし、脚本づくりが進むころ、横田さんは緩和ケア施設(ホスピス)に入り、そのまま静かに旅立ちました。
秋山監督は、「横田さんと『映画で必ずスクリーンにかける』と約束したんです。元気なうちにスクリーンにかけられなかったことは悔いが残りますが、きっとどこかで見てくれていると思います」と語りました。
横田さんを演じた俳優・松谷鷹也さんも、幼いころから野球一筋で育ちましたが、肩の故障で野球を断念。しかし、今回の役作りのために10年ぶりにバットを握り、一から体を作り直したといいます。
松谷さんは、横田さんの印象をこのように語ります。
「(横田さんは)めちゃくちゃ真面目で真っ直ぐな人なんですけど、ちょっとだけ抜けていて。そういうところが愛されている理由だと思います」(松谷さん)
さらに、松谷さんは「慎太郎さんの生きた証、人生に真摯に向き合う姿勢や諦めない強さを感じてもらえる作品です。皆さんの1日1日が、いまより少しでも良くなるような作品になっていると思うので、ぜひ観ていただきたい」と話しました。





