敗戦の中に見えた光 ヴィクトリーナ姫路 「ディフェンスのバレー」体現したイ・ジェヨンの活躍

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 バレーボール・SVリーグ女子のヴィクトリーナ姫路は28日、年内最後の試合となる「2025-26 大同生命SV.LEAGUE WOMEN」レギュラーシーズン第10節GAME2で、NECレッドロケッツ川崎との一戦に臨みました。セットカウント1-3(17-25、21-25、25-23、16-25)で敗れ、皇后杯を含めてNEC川崎に3連敗となりましたが、次の戦いに向けた光明も垣間見える一戦となりました。

 27日のGAME1に続き、28日もチケットは完売。3292人という満場の観衆が詰めかけた会場では、皇后杯準優勝の悔しさをぶつけるかのようなNEC川崎の強さが際立ちました。そんな中、ヴィクトリーナが一矢を報いるきっかけを作ったのが、今シーズンから加入したイ・ジェヨン選手でした。

ヴィクトリーナ姫路のイ・ジェヨン選手(写真:ラジオ関西)

 第1セット、NEC川崎の佐藤淑乃選手の強烈なジャンプサーブなどで、ヴィクトリーナのエース、カミーラ・ミンガルディ選手が集中的に狙われ、「サーブレシーブがなかなか入らず失点が続いた」(アヴィタル・セリンジャー監督)。指揮官は第2セット、1-3となった場面で、今季チーム最多得点を挙げているカミーラ選手をベンチに下げる決断を下しました。

 投入されたジェヨン選手は、サーブレシーブを中心にディフェンスに安定をもたらしただけでなく、レフトから鋭角に打ち込むスパイクで得点を重ね、試合の流れを引き寄せます。

 さらに、その奮闘はリベロの福留慧美選手や、攻守の主軸の一人・野中瑠衣選手にも波及。「ジェヨン選手が入ってくれることによって、監督が常々言っているディフェンスのバレーというのが体現できていた」(野中選手)と語るように、チーム本来の粘り強さが発揮されました。第3セットは20-23と劣勢から5連続得点で逆転し、ホームチームが意地を見せました。

 29打数12得点は野中選手に次ぐチーム2番目の数字。ブロックでも2得点を記録。サーブレシーブは24本中成功が20本(優=7本、良=13本)で、成功率は56.2パーセント。このジェヨン選手の活躍に、セリンジャー監督も「今日は本当に期待に応えて素晴らしいサーブレシーブだった。私たちのバレーをするのに大きく貢献してくれた」と称賛。野中選手も「ジェヨン選手も私も、苦しんだり悩んでいたりする期間もあったと思うので、今日は結果として悔しいが、一つ、今日の試合でこういう形で2人でできたのはすごくうれしかった」と仲間の活躍を称えました。

「今年最後の試合でしたが、たくさんのファンの方に見に来ていただいたので、勝ちたかった。やっぱり相手の方がちょっと上手だった部分も多かった。相手を通じて学んだことも多かったし、その過程を経て、私も成功への道につながると思っている」と、試合を振り返ったジェヨン選手。

 ともに会見に出席した野中選手の存在も大きかったようで、「ルイさんと一緒に出ると、ルイさんの安定的なプレーと守備のおかげで、私も気持ちが楽にプレーできた」とコメント。「一番大事なのはディフェンスとレシーブの部分。もっと準備をしていきたい」と、自身の特長を伸ばすべく、目線はすでに次戦を見据えていました。

記者会見に臨んだ、ヴィクトリーナ姫路の野中瑠衣選手(左)と、イ・ジェヨン選手(写真:ラジオ関西)
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