今夏、情熱のオペラが西宮で幕を開ける。兵庫県立芸術文化センター(兵庫県西宮市)は、同センター芸術監督で世界的指揮者の佐渡裕がプロデュースする歌劇「カルメン」を7月17日(金)~26日(日)、計8回上演する。世界中で愛される同作品の新制作で、国内外から集まる一流スタッフ、多彩なキャストに期待が高まっている。チケットの一般発売は3月1日(日)から。
同センターは阪神・淡路大震災からの「心の復興」を掲げ、2005年に開館。佐渡芸術監督と世界の第一線で活躍するアーティスト、同センター管弦楽団などによる「プロデュースオペラ」もスタート、毎年夏、数日にわたっての全幕オペラを上演している。プレイベントは地元有志と協力して開催。佐渡監督は「オペラが地元にとって『祭り』になるようにとの思いを持って取り組んでいる。劇場は良い演奏をするだけでなく、社会的にも意味のある存在でありたい」と語る。
「カルメン」は、自由奔放で妖艶な女カルメンと、誠実な軍人ドン・ホセとの激しい愛と破滅を描いたオペラ。「ハバネラ」「花の歌」「闘牛士の歌」など、聴き覚えのある名旋律が連なる。同作がプロデュースオペラで上演されるのは17年ぶり2回目。指揮は佐渡芸術監督、演出は世界的演出家のロレンツォ・マリアーニ。イタリアのパレルモ・マッシモ劇場で芸術監督だったマリアーニをはじめ、ヨーロッパで活躍する経験豊富な制作陣がそろう。
キャストも豪華だ。カルメンは、マリインスキー劇場、パリ・オペラ座などにもで出演経験のあるエカテリーナ・セメンチュクと、2024年プロデュースオペラ「蝶々夫人」で題名役を好演した高野百合絵。ドン・ホセには、世界の主要歌劇場で活躍するロベルト・アローニカと、同「蝶々夫人」でピンカートンを演じたマリオ・ロハスが扮する。そのほかエスカミーリョにマハラム・フセイノフ/高田智宏、ミカエラはヴァレンティーナ・マストランジェロ/迫田美帆と、いずれもダブルキャストで登場する。合唱には、関西で活躍するオペラ歌手らによる「プロデュースオペラ合唱団」と、子どもたちを含む公募で結成された合唱団総勢約100人が参加する。

発表会見で、佐渡監督は「カルメンは世界でもっとも上演回数が多いオペラの1つ。『前奏曲』はコマーシャルで頻繁に使われているし、『ハバネラ』はどこかで耳にしたことがあるだろう。まるでミュージカルみたいに、つい口ずさむナンバーが多い。よく上演される理由はそこにある」と話し、キャストについて「高野さんは『この人のためなら人生を捨ててもいい』と思えるようなカルメンをやってくれるだろう」「ロハスさんは非常に伸びやかで素晴らしい声。人柄も良く、彼がいるだけで稽古場が明るくなる。オペラはチーム戦なので心強い」と太鼓判を押した。

高野は中学生のころ、オペラの道を志すきっかけとなった作品がカルメンであることを明かし、「情熱的な音楽、心躍るリズムに鳥肌が立った。私の運命を変えてくれたカルメンを演じられることが本当に光栄でうれしい。『上手に見せなきゃ』とかではなくて、失敗を恐れず、思いっきりぶつかっていきたい」と意欲を見せた。ロハスはスペインにもルーツを持つメキシコ人で、幼い頃の夢は闘牛士だったという。「闘牛士は死と向き合って生きている。私たちも一瞬一瞬を大切にして人生を送っている。『カルメン』は人間がどこまで行き着くことができるか表現したオペラだと思う。私も極限まで頑張りたい」と決意を語った。





