ある時は最高の美術品。また、ある時はなくてはならない実用品「ガラス」。人々がガラスという素材とどのようにつきあってきたかをたどる展覧会「ガラスとともに―玻璃文庫名品撰」が神戸市立博物館(神戸市中央区京町)で開かれている。神戸松蔭女子学院大学(現在の神戸松蔭大学)名誉教授の棚橋淳二さんが長年にわたり集めたガラス資料「玻璃文庫コレクション」寄贈を記念して企画された展覧会で、江戸時代の和ガラス「びいどろ」「ぎやまん」から明治・大正・昭和のガラス製品、近代の理化学・医療用ガラス器具、七宝焼や中国の装飾ガラスに至るまで、約120点の貴重なコレクションを紹介。4月5日(日)まで。

棚橋さんは、これまでに1万点以上のガラス製品を同館に寄贈。その中には、1995年の阪神・淡路大震災をくぐり抜けたものもある。本展の核となる「玻璃文庫」はそのうち約3200件の体系的なコレクションで、歴史的、美術的に価値の高いものに加え、医療・理化学分野で用いられた実用器具が充実している点が特徴だ。一品一品から、当時の人々の暮らしぶりや美意識、多様な分野での利用を試みる意欲が伝わってくる。

展覧会は5章構成。16世紀、ヨーロッパからもたらされたガラス器は、17世紀半ばごろから日本でも本格的につくられ始めた。展示では、江戸時代につくられたびいどろ・ぎやまんに始まり、西洋文化が流入した明治時代以降、ガラスの成形や装飾技法の幅がどのように広がっていったかをたどることができる。素朴な造形美が宿るびいどろ・ぎやまんは、現代の私たちも魅了する。




大きな見どころは第4章「ガラス製の理化・医療器具」。ビーカー、メスシリンダーといった現在もおなじみの実験器具には、側部に細かな目盛りや文字が入っている。展示を担当した中山創太学芸員によると、江戸時代後期から明治時代前期にかけてつくられた同器具の中には、文字などを「ぎやまん彫り」(先端に鏨[たがね]などの硬質の石を付けた工具を使って表現する技法)で書いた作例があるという。中山学芸員は「江戸時代から連綿と受け継がれてきたガラス技術が理化・医療器具においても見られる。当時、手仕事で器体に何本もの目盛りを精確に刻むことは難しかったはず。一見、どれも同じようなガラス器に思えるかもしれないが、個々の技術に注目してほしい」と語る。






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