寿司店をルーツに持つ神戸の食品メーカーが、調味料や食品の製造・販売事業の拡大を受けて、来年をめどに新たな工場の建設を検討しているという。
神戸市須磨区の食品メーカー・松鶴は、いま、無添加調味料や食品製造を手がけ、製造部門の強化を進めている。
もともと神戸・板宿の寿司店「松鶴寿司」から始まり、2015年に株式会社松鶴を設立。約6年前に現在の拠点へ移転したなか、寿司店としての営業を続ける一方で、調味料や食品の製造・販売を事業の柱として育ててきた。
「寿司屋を続けながら、商品開発と製造にも本格的に取り組んでいます」と語るのは、代表の藤原弘法さんだ。
現在の主力商品は、酸味を抑えた甘口の三杯酢「土佐酢」。さらに、果汁のみで仕上げた「生ポン酢」は、無添加志向の消費者から関心を寄せられている。
原材料にもこだわっているといい、カツオ節は自社で削り、昆布には利尻昆布を使用。保存料や化学調味料を使わない商品づくりを貫き、高品質な商品を揃えるスーパーや海外市場にも販路を広げている。
本社1階には直営のセレクトショップ「弥栄屋(いやさかや)商店」を構え、自社商品に加えて、無添加食品や日本酒、ワインなどを販売。展示会に出展する中で全国の生産者と出会い、選び抜いた商品を店頭に並べているという。
同社が取り扱う商品の1つ、「ひょうご海鮮つめとん瓶」は、「兵庫県のおいしい海産物を広めたい」という思いから生まれた一品。兵庫県内で水揚げされた魚介類を中心に、複数のブランドサーモンを使用し、専用に開発しただしに漬け込んだ。温かいご飯にのせるだけで海鮮丼が完成する手軽さから、土産物としても話題となり、昨年の大阪・関西万博では関西みやげを取り扱う店にも並んだ。
製造体制の拡充も進む。需要増加を受け、藤原さんは「来年をめどに新工場の設立を検討している」と明かす。また同社は障がい福祉事業にも取り組み、ラベル貼りなどの工程で障がい者を直接雇用。食品製造と就労支援を両立させる事業モデルを構築している。
藤原さんは「寿司屋なのか食品メーカーなのか分からなくなってきた」とはにかむも、冷凍・パウチ商品など魚介を生かした新商品の構想も進めているという。





