戦後まもなく、前衛美術の分野で注目を集めたものの、その後、十分に取り上げられることが少なかった女性美術家たちに焦点をあてる特別展「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」が、兵庫県立美術館で開催されている。2026年5月6日(水・振休)まで。

戦後まもない頃、美術の世界では、伝統的な形式によらない、素材や制作方法に注目する動き「アンフォルメル」の隆盛により、ジェンダーの違いを問わない価値基準をもたらした。その流れは女性美術家たちを後押しし、彼女たちは自由で独自の抽象表現を追求し注目を集めた。しかし、「アクション・ペインティング」が導入され、身振りや豪快さや力強さといった男性性に結びつきやすい「アクション」が評価の中心となり、多くの女性美術家たちは見落とされるようになっていった。
※「アクション・ペインティング」=米国の批評家ハロルド・ローゼンバーグが提唱。カンヴァスを「出来事の舞台」ととらえ、絵画は完成されたイメージではなく、身振りの決断や速度、反復が残す「行為の軌跡」だという視点を示した。

「アンチ・アクション」とタイトルがつけられた今展では、1950年代から60年代にかけて、当時、30代から40代だった女性美術家たちが取り組んだ創作活動に焦点を当て、半世紀以上を経ても色あせない14人の挑戦=作品約120点を紹介する。
※「アンチ・アクション」=今展の監修者である中嶋泉氏が考案した用語

平面に見えても、絵の具の質感=凹凸や筆運びのスピード、強さ、絵具を塗る順番、またどのような材料を使っているのか、それどれの作家ならではの表現を見ることができる。作品は、作家ごとに展示されているが、それぞれのつながりを感じさせる。

今も精力的に活動を続ける草間彌生、明石市出身で、ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館へ女性で初めて選ばれた江見絹子、そして「具体美術協会」の白髪富士子、田中敦子、山崎つる子ら14人の、個性豊かな作品は、完成から半世紀以上の時を経ているが、それを感じさせない新鮮な光を放っている。何かを語りかけているようで、その迫力に圧倒される。
同館の広報担当者は、「戦後、見落とされてゆくこととなった女性美術家たちに光を当てた。彼女たちの精力的な挑戦を感じてほしい」と話す。






