女子サッカー・WEリーグ優勝 INAC神戸 新米指揮官と選手の強固な絆が導いた4季ぶりの戴冠

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 サッカー・女子のWEリーグは、INAC神戸レオネッサの4季ぶり2度目の優勝が決まった。今シーズンからチームを率いる宮本ともみ監督は、WEリーグ史上初の女性優勝監督となった。

 3日、ホームのノエビアスタジアム神戸で行われた2025/26 WEリーグ第20節、AC長野パルセイロ・レディース戦。この試合でINAC神戸が勝ち、2位の三菱重工浦和レッズレディースが同日のマイナビ仙台レディース戦で引き分け以下であれば優勝が決まるという大一番で、選手たちが序盤から奮起。5-1と大量リードで相手を圧倒した。

 その試合終盤、「浦和Lが0-1の劣勢」との情報はINAC神戸のベンチに届いていた。アディショナルタイムの4分が経過する最中に浦和Lの敗戦が確定。勝利を告げる笛が鳴ると、ピッチサイドに陣取っていた宮本監督は両手を突き上げて喜びを爆発させた。その指揮官の様子を見て、ピッチ内の選手たちも優勝を確信。抱き合って喜び合い、そこに控え選手やスタッフらも駆け寄って、本拠地に歓喜の輪が広がった。

宮本ともみ監督(右から4人目)と歓喜の輪を作るINAC神戸の選手たち(写真提供:WEリーグ)

 試合後のインタビュー。「優勝監督」の称号を得た宮本監督は「皆さん、最高でーす!」と第一声。「皆さんにお見せしたいサッカーを貫こうと思っていました。90分を通してゴールを奪いにいくサッカーをお見せできたと思います」と充実感に浸った。

 大黒柱としてチームを牽引し続けてきた日本女子代表(なでしこジャパン)MF成宮唯選手は、声を詰まらせながら「すごくうれしいです」と絞り出すように感想をコメント。「(チームメートの)みんなには平常心でと言いつつ、自分自身がプレッシャーを感じる中で(優勝でき)、ホッとしています」と率直な心境を吐露した。

 また、キャプテンのDF三宅史織選手は「目の前の試合に必死だったので、(優勝は)びっくりという感じです。苦しい時もありましたが、経験のある選手が引っ張ってくれて、若手がついてきて、追い越してやろうというのもあって、いいチームでした」と今季のINAC神戸を総括した。

 WEリーグ初年度の2021-22シーズンを制し、初代王者に輝いたINAC神戸。だがしかし、その後の3シーズンはすべて2位。昨シーズンは優勝した日テレ・東京ヴェルディベレーザ(東京NB)と同勝点で並びながら、得失点差で涙をのんだ。

「シルバーコレクター」の汚名を返上すべく、INAC神戸の監督に就任したのが、2024年までなでしこジャパンでコーチを務めていた宮本氏だ。新米指揮官が掲げたのは「たくさんゴールを奪う」攻撃サッカーだった。

 自慢のパスワークとドリブルを織り交ぜてボールを前に運び、ゴール前に多くの選手が侵入する。ボールを失っても高い位置で奪い返してカウンターにつなげる……。

 そうした得点意識の高さは、この日のAC長野戦でも存分に発揮された。チーム全体の得点数も、2試合を残して49得点を記録。昨シーズンの43得点を大きく上回る。1試合5得点は、20試合中、今回を含めて実に4試合を数える。

 その象徴が、宮本監督とともに、今シーズンからチームの一員となったFW吉田莉胡選手だ。今回のAC長野戦でもその決定力をいかんなく発揮し、開始早々の前半2分と、後半25分にゴールをマーク。ゴール数を16に伸ばし、得点ランキングで単独トップに立つ。

「こういう試合だと入りが大事になってくるとみんな思っていたと思います。その中で早い段階で決めることができたのが、試合を優位に進められた要因。自分がゴールを決めて、(チームに)勢いをつけられてよかった」と語る、吉田選手。「点が取れない時期もあったのですが、自分を使い続けてくれたミッチーさん(宮本監督)には感謝していますし、結果で応えたい気持ちがありました」と破顔した。

「苦しいシーズンの方が多く、リーグのタイトルを取るのは簡単じゃないと思っていました。(WEリーグ)1年目の優勝を経験した選手がどんどん少なくなってきた中で、後半戦(の戦い方)が一番の課題でした」というのは、2013年からINAC神戸に加入後、クラブ一筋で歩んできた三宅選手。

 シーズン当初、WEリーグ、WEリーグクラシエカップ、皇后杯の3冠を目指しながら、元日決勝の皇后杯では準優勝とあと一歩のところでタイトルを逃せば、年明け最初のリーグ戦・第16節アルビレックス新潟レディース戦で0-1と敗北。さらに、WEリーグクラシエカップでグループステージ敗退したこともあり、一時は「嫌な流れがあった」(三宅選手)と明かす。

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