6割が日本初公開 幕末~明治の「奇想の絵師」河鍋暁斎の傑作を一堂に 神戸市立博物館で特別展

LINEで送る

この記事の写真を見る(14枚)

 幕末から明治にかけて活躍、「奇想の絵師」と称された河鍋暁斎(1831~1889年)。その芸術世界を紹介する特別展「ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界」が、神戸市立博物館(神戸市中央区)で開かれている。世界有数の暁斎コレクターとして知られる英国在住の美術商イスラエル・ゴールドマンさんの所蔵品から約110点を選りすぐったもので、うち日本初公開品は60点。多様な肉筆画から版画、下絵まで、暁斎芸術の真髄を味わえる豪華なラインアップとなっている。

神戸市立博物館

 河鍋暁斎は江戸から明治時代にかけての激動期を生きた絵師。幼い頃、浮世絵師・歌川国芳に学んだ後、狩野派で日本画の修業を積んだ。浮世絵と狩野派双方の技法を自在に操り、圧倒的な筆力と豊かな発想力を武器に、神仏画、美人画、歴史画、戯画、風刺画、動物画、妖怪画などあらゆる題材を描いた。人前で即興の絵を描く「席画」の名手としても知られ、明治期には英国人も弟子入りした。59歳で病死したものの、作品は国内外に大きな影響をもたらした。

展示風景

 このたび公開されたゴールドマンさんの収集品は、40年以上にわたり集められた世界屈指の暁斎コレクション。掛軸や屏風、巻物などの肉筆作品をはじめ、版画、版本、下絵、「暁斎絵日記」まで網羅し、暁斎の創作活動を総合的にたどることができる内容だ。浮世絵に造詣の深いゴールドマンさんならではの審美眼によって、保存状態が極めて良好な初摺り版画が数多く含まれていることも特徴という。

河鍋暁斎《地獄太夫と一休》 明治4~22年(1871-89) 絹本着彩 イスラエル・ゴールドマン・コレクション Photo: Ken Adlard

 展覧会は6つのテーマで構成。冒頭の「ゴールドマン・コレクションのスターたち」では、ゴールドマンさんが暁斎作品を収集するきっかけとなった「象と子熊」、画家が得意とした即興的な作品「書画会図」、人物の表情が印象的な「地獄太夫と一休」など、代表的な肉筆画を展示。豪快さと繊細さを兼ね備えた筆致、独創的な構図、人物表現の巧みさなど、暁斎芸術の真骨頂を紹介する。続く「けもの」では、動物画を特集。暁斎のトレードマーク的な画題である鴉(からす)や蛙(かえる)のほか、猫や虎、鼠(ねずみ)、狸(たぬき)、狐(きつね)などを時には擬人化し、愛嬌たっぷりに描いた。中でも、日本初公開となる「猫又図」は、二本の尾を持つ妖怪・猫又を描いた人気作品で、本展オリジナルグッズのモチーフにも採用されている。

河鍋暁斎《閻魔大王浄玻璃鏡図》 明治4~22年(1871-89) 絹本着彩 イスラエル・ゴールドマン・コレクション Photo: Ken Adlard
河鍋暁斎《蛙の学校》 明治零年代中頃(1870年代前半) 紙本着彩 イスラエル・ゴールドマン・コレクション Photo: Ken Adlard

 歴史上の人物や美人画だけでなく、文明開化を迎えた明治社会の人々や外国人の姿など、激動する時代を映した作品が並ぶのは、「ひと」の章。「三味線を弾く洋装の骸骨と踊る妖怪」では、日本人が西洋人をまねた姿をやゆし、「放屁合戦図」では、屁の勢いで人々が吹き飛ばされ、転倒するさまを臨場感たっぷりに描いた。「おに」の章では、地獄の鬼や風神・雷神、大津絵の鬼など、多彩な鬼たちが登場する。恐ろしさだけでなく、人間味を感じさせる鬼の姿からは、暁斎独特のユーモアと豊かな想像力が伝わる。日本初公開となる「大津絵夕立図」も見どころの1つだ。

LINEで送る

関連記事