第108回全国高校野球選手権兵庫大会は26日、ほっともっとフィールド神戸で決勝戦が行われ、社が明石商を3-2と下して、3年ぶりに3度目の夏の甲子園出場を決めた。

常に先手を取りながら勝ち上がってきた社。この決勝戦でも、序盤から明石商の2年生エース・仲吉泰清投手を攻め立て、3回まで毎回3塁までランナーを進めたが、得点が遠かった。
2回裏の得点機ではスクイズが阻止されたうえ、9番打者・桝井大吾選手(3年)のセンター前ヒットで2塁走者の北村煌大選手(2塁)が本塁突入を試みたが、明石商のセンター・米田大希選手(2年)の好返球の前にタッチアウト。先制のチャンスを逸したことで、流れを明石商に持っていかれ、5回表に先制点を奪われた。
さらに、クーリングタイムを終えた直後の6回表、先発の岩井秀耶投手(3年)が先頭打者にフォアボールを与え、その次の打者に1球を投じたところで体に異変。「疲れもあってか、5回戦・市尼崎戦のときから痛みを抱えていた」左のでん部付近が我慢の限界に達し、エースが降板する事態になった。
それでも、「負けを想定した練習もしっかりやっていて、メンタルも(普段と)一緒の状態でできていた」というのは、主将の松下幸叶選手(3年)。ここからチームは奮起した。また、2番手で緊急登板した左腕・内田遥斗投手(3年)が、準決勝・須磨学園戦と同様に、冷静なピッチングを披露し、2三振などで後続を抑えた。
7回表こそ、エラー絡みで1失点するが、「確認事項をしっかり行ったり、『冷静にやろう』と自分に言い聞かせながらやっていた」という背番号10がテンポのいい投球で相手を封じた。そこから生まれたリズムが、8回裏に結実する。
突破口を開いたのは3番打者・主将の松下選手。6回裏にもフォアボールを選び、山口諒大選手(3年)のタイムリーツーベースヒットを呼び込むと、1-2の8回裏は1アウトからセンター前ヒットで出塁し、チャンスメイク。
打席は4番打者・小倉臣斗選手(3年)。ここまで2三振、ノーヒットと結果が出ていなかったが、1ボールからの2球目、仲吉投手の甘く入ったスライダーを見逃さなかった。
「1打席目も2打席目も、僕がまっすぐが強いと思われているので、常に変化球は来ると思っていた。甘いところにきたら一発で仕留めようという気持ちでやっていた」という背番号7の一撃は、レフトスタンドに突き刺さる2ランホームラン。土壇場で社が試合をひっくり返し、1塁側ベンチも応援スタンドも、大いに沸き立った。

この1点リードで迎えた9回表も、内田投手のピッチングが光った。代打攻勢をかけてきた明石商を三者凡退に抑え、ゲームセット。マウンドに歓喜の輪が広がった。
試合後の場内インタビューで、山本巧監督は、「本当にみんながよく守った。8回裏のホームランのときにはちょっと泣きそうになったが、我慢した。よく9回、みんなで守り切ってくれたと思う。まだ信じられない思い」とコメント。岩井投手が満身創痍の状態だったことも明かしたうえで、「マウンドではそれを一切出さずに、みんなのために一生懸命投げてくれたので、それにみんなが応えてくれたんじゃないかなと思う」とエースをはじめ、選手たちを称えた。
「自分は迷惑をかけたが、みんなが打ってくれて、最後、逆転して勝てて、本当にうれしい」と興奮気味に話すのは、岩井投手。優勝決定直後は痛みも吹っ飛んだといい、仲間とともに内田投手のいるマウンドへ一目散に駆け寄った。「(交代のときは)本当に申し訳なかったが、『内田なら(抑えてくれる)』と僕も信じていたし、みんなの守備なら絶対にできると思っていた。悔しかったが、そこは応援することに切り替えていた」と背番号1は、最後までチームメイトに全幅の信頼を寄せていた。







