ーー長男くんの好きなことや得意なことを教えてください。
「空の乗り物と新幹線が大好きです。飛行機やロケット、スペースシャトルなど、宇宙関係のものも好きです。飛行機は模型が何機あるのかわかりません…。
得意なことは、何よりも二輪車に乗ることが得意です。今でも飛ぶ・走るなどの運動神経はあまり良くないのですが、自転車や電動バイクは何も教えなくても、数秒で自分自身でオフロードを乗りこなすことができました。自転車は補助輪なしでいきなり漕ぎ始めたので、大人の補助もほぼなしです。
赤ちゃんの頃から、夫のレースやコースへ一緒に行っていたのが影響があるのか、今でもわかりませんが、二輪はとても上手です」
定型発達の妹は5歳「長女は、私たちにとって人生の先輩」とママ
ーー現在5歳になる妹さんとの関係性はいかがですか?
「人に興味がまったくなかった長男が、人に興味を持ち始め、一気に成長が伸びたのは、間違いなく長女の存在のおかげです。今となっては、長女への信頼がとても表れているように感じます。最初は、“家族”という概念も理解できていませんでしたが、長女の姿が見えないと、『こなっちゃん(妹)も一緒』と今ではすっかり理解しているようです。そのようなことも含め、私たちは長女にとても感謝しています。
長女はまだ5歳ですが、私たち親が経験したことがない“障がいのあるきょうだいをもつ”という人生を歩んでおり、それだけでも、私たちにとっては長女は人生の先輩であると感じています。
とてもしっかり者の長女は、私たちが理解しきれないことも自然と理解しており、しかし私たちもそれに甘えてはいけない、当たり前ではないということもしっかり意識した上で、長女にはいつも感謝の気持ちを言葉で伝えるように意識しています。
『長男には長男の人生を。長女には長女の人生を自由に歩んでもらいたい。』と、今からわかりやすく長女には伝えています」
“障がいがあることは、絶望ではなくむしろ光に変えられるチャンスだ”
ーー発達特性のあるお子さんとご家族の写真を残す『ヒダマリフィルム』に込めた思いを教えてください。
「もともとのきっかけは長男の七五三を撮れなかったことでした。着物をレンタルしてみたものの、初めての肌触りに着用することすらできず、新品のまま返送しました。撮影以前に、着物が着られないとは思っていなかったので、その時のショックな気持ちは今でも鮮明に覚えています。
そもそも、発達特性をもつお子様のご両親は、“カメラマンに撮影を依頼する”という選択肢すら既に頭にないのかもしれません。
それでも、同じ境遇の親として、カメラマンとして、『どんな状況になってもその一瞬を必ず切り“撮り”、写真を見返したときにお子様の“ちがい”を愛せる写真を届けたい。唯一無二のご家族の物語を残したい。』と、撮影中は常に思っています。
これは、きれい事ではなく、私の意地もあるのかもしれません。
“障がいがあっても、絶望ではなくむしろ光に変えられるチャンスだ”とすら、長男のおかげで今では思うことができています。そしてそれは、障がいに限らず人生の中でぶち当たる壁や困難も同じことだと思います。
もちろん毎日、知的障がい・自閉症をもつ人間を相手にするのは神経を使い、疲れるのは事実です。しかし、そんな“障がいをもった長男”が、私たちに与えてくれた思いがけない新しい人生は、長男の価値を既に証明しているといっても過言ではありません。
障がいをもっているから何も生み出せないのではなく、少し目線を変えれば、私たちのすぐそばに、新しい可能性が転がっているということも、写真を通して伝えたいと思っています」





