周囲との関係性、得意なこと、現在の困りごとについて
ーー言葉は話せずとも、周囲やお友達との関係性を築けているのですね…!
「これは親バカですが…、長男の周りにはいつも素敵な方が集まってくるな、と昔からよく思っています。特性によりご迷惑をたくさんおかけしていると思うのですが、今まで通ってきた療育や学校、放課後等デイサービスなど、どこに行っても気にかけてくれるお友達や、我が子のように可愛がってくださる、熱心に関わってくださる先生方に恵まれるなぁと感じています。
特にお友達に関しては、長男は発語もないし、一緒に遊ぶことも得意ではないのに、それでもこの子のことを好きだと言ってくれるお友達がいることは奇跡のようにありがたいことだと思っています」
ーー長男くんの得意なこと、好きなことは?
「お絵描きは小さい頃から大好きです。クレヨン、絵の具、色えんぴつ、チョーク…なんでも好きです。カラフルで力強いタッチの絵が特徴です。クレヨンはあっという間に1本なくなりますし、紙も多い時は2〜3日で100枚なくなります」
ーー発達特性による現在の困りごとはありますか?
「本当にたくさんありますが…、危険なことがわからず急に走り出したり、汚い物や人の持ち物を触ってしまったり、突然大きな声が出てしまったりするので、外出時はとても気をつかいます。特に下の子たちがまだ幼いので、家族そろってのお出かけは、いつもとても神経と体力をつかいます。
下の子たちに我慢してもらう場面も多いのですが、『長男がいるから〇〇に行けない、できない』という思いを下の子たちにできる限りしてほしくなく、少しでもそうならないように、私と夫で二手にわかれて、子どもたちを遊びに連れて行ったりしています。でも、本心では、もっと家族揃って思い出を作れたらいいのにな、と思っています」
“長男も、下の子たちも、自分の人生を幸せに生きてほしい” 育児で大切にしていること
ーー長男くんを含め、3人のお子さんの育児で大切にしていることを教えてください。
「夫婦の思いとして、“長男の障がいのことを隠して生活したくない”ということがあります。障がいがあることも含めて長男ですし、何も悪いことはしていないので、堂々と楽しく生活したいと思っています。
ですが、それはあくまでも私たち親の気持ちであり、きょうだい児である下の子たちは違うかもしれないというのは常に頭に置いています。
もしも彼女たちが思春期を迎えたときや、それ以前でも、“障がいのある兄”の存在が周りからどう見えるのか、気になる日がきっとくると思うのです。隠したいと言うかもしれません。
長男を大事に思う気持ちと同じくらい、長女、次女の気持ちも決して蔑ろにしたくない。家族だから、兄妹だからといって、長男の障がいを背負う必要はない。それは、親の役目だということを少しずつ伝えていきたいです。
親ならみんな願うことかと思いますが、長男も長女も次女も、ありのままを受け入れてくれる世界でのびのびと自分の人生を幸せに生きていってほしい。
そのために、今からしてあげられることはなんだろう、どう寄り添ってあげたらいいんだろうと日々模索しています」
『同じような境遇のご家族のお力に少しでもなるのであれば』と匿名で取材にご協力いただいたYOUさん。長男くん、そして2人の妹さんたちーー、YOUさん家族の穏やかな日常は、これからも続いていきます。
(取材・文=五ヶ瀬あお)





